●ふつうじゃなくて
受験生も忙しくなって、与えられる課題もたくさんで整理片付けもままならず、制作のアトリエから外に出されたモチーフもあちらこちらにと散在し始める。生徒にとっては「そんな場合じゃない」のだ。環境悪化は制作にも影響するので、さしずめ、ため息まじりの親のごとく、かたづけ、掃除のおじさんになって環境美化に何気なく貢献する。
様々ある彫刻の為のモチーフ。こうした動物の骨もそのひとつ。その中でも牛骨は最も一般にあるもの。牛丼うまい!とデフレも加わって毎日食する膨大な肉の背景には勿論「生」の牛がいる。それにしてもだ・・。この光景は一般的に見れば「ふつうじゃない」。
居並ぶこれだけの骨。暗やみに引き込むようなその存在感は「ふつう」にはかなり異常な光景なのだと思う。
美術家はふつうの中にあるふつうではない出来ごとやものを発見する。そしてそれが高じるともうふつうの人ではなくなっていたりする。本来ならふつうでありたいと願う事の方がきっとふつうではない新鮮な何かが発見できるのだろう。
にやりにやり嗤う牛骨達のざわめきが聞こえる。
受験生のみなさん、少し落ち着いてアクシデンとのないように、しっかり理性を保ちながら、周りの環境も整えながら参りましょうね。