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2010年01月21日

●うれしいをもってかえる

直前講習も始まり、実戦に向けたカリキュラムも怒濤のように加わって、入れ替わり立ち替わりで、モチーフも「忙しい」。彫刻の体力的、肉体的、物質的なモチーフと比べ、この時期の日本画やデザイン科のモチーフはさすがに少々うらやましい。市場に出される一足早い季節もののモチーフが加わってこちらの心も踊る。余ったモチーフもご覧の通り、春の香りが漂い、なんと言うか、もう合格さえも自分のものにしてしまったようなそんな明るさを放出している。
通る学生が一輪手にうきうきの笑顔がいい。これから本番の殺伐さに「お花、一本いかがでしょうか?」その晴れやかさで合格も頂き!といきたいですね。風邪などひきませんように。

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●ふつうじゃなくて

受験生も忙しくなって、与えられる課題もたくさんで整理片付けもままならず、制作のアトリエから外に出されたモチーフもあちらこちらにと散在し始める。生徒にとっては「そんな場合じゃない」のだ。環境悪化は制作にも影響するので、さしずめ、ため息まじりの親のごとく、かたづけ、掃除のおじさんになって環境美化に何気なく貢献する。
様々ある彫刻の為のモチーフ。こうした動物の骨もそのひとつ。その中でも牛骨は最も一般にあるもの。牛丼うまい!とデフレも加わって毎日食する膨大な肉の背景には勿論「生」の牛がいる。それにしてもだ・・。この光景は一般的に見れば「ふつうじゃない」。
居並ぶこれだけの骨。暗やみに引き込むようなその存在感は「ふつう」にはかなり異常な光景なのだと思う。
美術家はふつうの中にあるふつうではない出来ごとやものを発見する。そしてそれが高じるともうふつうの人ではなくなっていたりする。本来ならふつうでありたいと願う事の方がきっとふつうではない新鮮な何かが発見できるのだろう。

にやりにやり嗤う牛骨達のざわめきが聞こえる。
受験生のみなさん、少し落ち着いてアクシデンとのないように、しっかり理性を保ちながら、周りの環境も整えながら参りましょうね。

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2010年01月20日

●軽やかに舞う

センター試験も終わり、皆、一山超えたような顔。うまくなんとか乗り切れた様子である。
すかさず「コンクール」で、なんとも休む間も無い。ここが踏ん張り所なのだし、この日の為に準備して来たのだから、もう迷わずに突き進むだけ。一方で、我々指導陣にとっては逆に静かな時間となる。念力やテレパシーで応援はできてもあとは学生まかせなのだから、こちらもこれから一緒に闘う為の養分注入期間となる。
というわけで、私も注入すべく、東京都現代美術館の「レベッカ・ホルン展ー静かな叛乱 鴉と鯨の対話」、そして鎌倉にある神奈川県立近代美術館「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」へ行って来た。年代的には差があるが、ドイツ、日本を代表するどちらも女性作家である。

ご承知のように、近年の彫刻を目指す女性の増加は驚くばかり。昨年度の芸大合格者の半数は女性だったし、広島に至っては昨年度の入学者は全員女性だとも聞いている。
 男性の中性化は別としても、彫刻という領域での女性作家の活躍は、多くの視点や可能性へと開かれる光に満ちている。

いざ、これから始まる受験という闘いも、毎年のことながら一歩も二歩も女性リードといった感がある。大きく空を抱えながら、軽やかにそれぞれの春に向けて走り出してほしい。

   
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内藤礼の風で空に舞うリボンによる作品。タイトル「精霊」(見えるかな・・・)

2010年01月05日

●謹賀新年

あけましておめでとうございます。
なんていいながら、みんなそんな気分じゃなくて、必死必死の毎日、年越しだったかもしれませんね。私も年明けからの個展を控え、受験生同様、毎日が怒濤の戦いで過ぎていきました。
それでも、久しぶりの学生諸君の顔はなんだか力が抜けていて、食べるものもしっかり食べて、睡眠もたっぷり、といった健やかな顔してましたね。
 近頃は地方出身者もかなり減って、郷土色が豊かという感じではないのですが、それでも帰郷組の話しはとても新鮮ですね。
 多種多様。そんな坩堝(るつぼ)のような混色状態が活気に満ちていていいですね。著名アーティスト達の根源も生まれ育った環境、そしてこうした多くの人達との交流から生まれたと言っても過言ではないでしょう。交わす言葉も無言のライバル心も、きっと何かを生み出す要素となるのでしょう。
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