●構成する
いくつかのものを組み合わせて美的バランスをとる。塑造での構成課題は、そうした立体の自由な組み合わせの可能性を探る試みである。
例えば「手と立方体の構成」。
「手=有機的 」「立方体=無機的」と、まずはおよそ何の関係も脈絡も無い二つの要素を逆に利用し組み合わせることで、鮮やかな視点を浮かび上がらせる。つまりは全く異質なものの関係とは新たな世界感を生み出すための始まりなのである。こうした構成課題の主たる目的は量塊としての彫刻の特性というよりは空間表現への自由なアプローチである。
さて、美術の歴史に於ける「構成主義」は、1920年代にかけてソ連で展開した芸術運動を指すのだが、タトリンがピカソやシュプレマティズムの影響を受けて始めた鉄板や木片によるレリーフを「構成」と呼んだのが発端だという。これは彫刻の歴史上では言ってみれば初の完全な「抽象彫刻」であり、量塊ではなく空間表現としての彫刻であることなどの点においてまさに革命的であった、と歴史は記す。
基礎としての構成課題も空間への積極的なアプローチではあるが、あくまでも「手」という具象形態を中心にしている点では物語としても多様なイメージ表現もたやすい。
抽象という概念が古代の異物のようになってしまってはいるが、想像力の根源とは名付けることもできない抽象的なものかもしれない。物語を使わずに物語を作る。いつかは課題にしてみたい。