●夏の落下物
今日も暑い・・。遅かりし夏がギンギンにたぎる。そんな中で負けじ!と存在を主張するようなささやかな光景が沢山ある。すいどーばたの界隈は「気にすれば」こうした光景や体験が普通にできる場所でもある。
道すがら見つけた花は大輪の見事なものだった。とその下には落下した花が、かわいらしくまるで和服の柄のようにくるんと丸まっている。あのぎんぎら太陽に向けて開いた花は地上で蕾みになった。一枚の折り紙が立体に変化したようで思わず手にとった。
学校の玄関前。前を歩くデザイン科女性講師がふと足を止め地上を見つめる。何か見つけたようだ。ギンギンの太陽を避けるようにさした日傘。そして彼女の不可解な次の行動に私が足を止めた。靴先でこわごわと地上の何かを「ちょこっと」蹴ったのだ。彼女は一瞬、落胆と安心とが混じったようになりながらも納得したように歩き出した。私は足早にその場に向かった。それは「蝉」だった。そして全てを理解した。
今朝の二つの小さな拾い物、それは今しがたまで自らの命のクライマックスを真夏の太陽と共に叫びきった後の躯だった。消え去るものの形もなぜか美しい。