●空洞
身体の中にある胃や腸の器官もその実は表面。口の中に放り込む食べ物は器官の表面を辿り落ちて行く。地球空洞説なる摩訶不思議な考えがあって、地球も実は中身は空っぽで、その内側の表面には人間の居住が可能だとする考え。科学的的ではないが表裏一体で面白い。
さて彫刻の基礎でいうところの構造やら量のイメージはmass(塊)を前提としての概念であり、空洞=空っぽは生命感を欠いた凡そ彫刻の本道から外れたものとしてある。ただ、客観的には石膏像そのものの内部は空洞であり、内部は同じように意味を有しない表面が広がるのみである。それにしても空洞という何も存在しない表面が作り出す空間がなぜこれほどに多くのイメージを喚起させるのか。空洞とは多くの要素で満ちあふれ充満したイメージの量塊であろうか。