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2009年03月09日

●出発

いよいよ明日から東京芸大の試験。一年間の集大成。その日がやってきた。この日ばかりは特別な空気が漂う。嵐の前の静けさにも似ておごそかでもある。

モチーフも様々に準備され、それそれがそれぞれの方法で選択した像と向き合っている。自己の気持ちと対峙しながら。
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講師も全員揃った。こちらは細心の注意をはらいながらも穏やかでにこやかだ。
例年の事だが、この緊張の中で彗星の如く煌めき出す学生が現れることに驚く。人の才能を計る定規など無いのだとまた思い知る。

さあ、皆さん!溜め込んだ全てのものを発散して輝いちゃって下さいね!!


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2009年03月05日

●卒展鑑賞雑感

 美術大学の卒業制作展へ行って来た。当予備校で学んだ学生も数多く、4年〜6年の時間の早さと、「いっぱし」に「りっぱ」に作品を作れるようになった学生達の成長に喜び、朽ちそうな我が身にパワーを注がれる思いであった。
時間の関係もあり駆け足での鑑賞となったが、東京都美術館での東京芸大の展示を皮切りに、武蔵野美術大学の80周年記念大学院修了展 '08「もの語る」、芸大美術館、芸大彫刻棟での展示、そして国立新美術館での東京五美術大学連合卒業展(多摩美術大学、女子美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部、武蔵野美術大学)と、てんこもりのアートずくしであった。
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今回の鑑賞ポイントは二つ。宝物探しゲームのように教え子達の作品を発見して無邪気に喜ぶこと。そして各大学の指導陣の顔を思い浮かべながら、それぞれの大学の特徴を探ること。

さて結果。
まずは東京芸大学部生の作品。これはスケールも含めクオリティーの高さは圧巻。「信ずる者は救われる」が如く徹底した技術力を誇示する。大学院進学の評価もあって自己顕示欲に満ちている。ただ、作品の殆どが具象彫刻というのは美大としては異常か・・。

 一方、隣接する部屋での武蔵美大学院の「もの語る」展。背後のコンセプトをひも解く感じが懐かしくなぜかホッとする。観る側にも考える行為と対話への猶予を与えてくれるからだろう。美術とは本来こうした側面があり重要な要素なのだと思う。
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五美術大展では、女子美の柔らかく軽快な作品群が印象的。これは昨年も感じた印象で若い講師陣の奮闘が伺える。目立ったのは武蔵美の作品のバリエーションか。他大学を圧倒して小気味良い。指導の裾の広さが出た感じか。やはり美大教育には個性は当然として表現の多様性は不可欠。

 陸続と続く作家の卵達。卒業ともなれば社会の中で生きていくこととなる。決定した就職を喜ぶ学生も、作品を作り続けることを力強く宣言して頼もしい。

一日鑑賞で頭は美術で溢れかえり混沌としてざわめいて、久しぶりにカオスを味わう。
たまにはこうして脳みそを撹乱して刺激を与えるのがいい。

??♪おまけ
芸大構内の彫刻科の素材置き場。凄い量の木材。木彫人気が伺えますね。自然保護もなんのそのとはいえ自然の命と裸で向き合うのがいい。
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(彫刻棟入り口前にある胸像)毎日何気なく、いや、学生当時は「古いね〜」なんて思いながら通り過ごした胸像。今は学生のモチーフで老人の首像も作らせていて、今頃になってしっかり観察しちゃいました。
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