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2009年01月09日

●初雪草

初雪。未明から降り続いていたのだろうか、朝の風景を一変させていた。雪の朝はカーテン越しにもその「異変」を感じる。曇っているにも関わらず僅かな光をも反射して明るい。そして太陽が高度を上げるにつれて一気に溶け始める。アトリエから俯瞰する渓谷の底からは、斜面を伝って濛々と狼煙(のろし)のように水蒸気が上昇し空へと消えて行く。その様はまるで地球の歓喜ようで見入る私の魂を揺さぶる。雪に隠れていた雑草や畑の作物も、雪の「温泉」にでも浸かったように以前よりも生き生きと輝き顔を出す。
初雪草(ハツユキソウ)という植物がある。 原産は北アメリカ。葉に白い斑(ふ)が入っていて、まるで雪化粧をしたように見えるためそう呼ばれるのだが、実はこの植物、初霜にも初雪にも、勿論、寒さにも弱い。雪にしてみれば今日降ろうが明日降ろうが変わりは無いのだが、実はその雪によって際立つ何かの存在を意味しているのだろう。
 雪に触れてその冷たさを感じてみる。大地の熱を孕み、空からの極寒たる雪を友として生きるこの雑草に、手前勝手に「初雪草」と名付けてみるのである。
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