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2008年12月05日

●光の通路

すいどーばたは目白駅と池袋駅のちょうど間に位置する。目白から進む最もポピュラーな道は、駅前の目白通りを道沿いに数分歩いて直角に折れ、いわゆる高級住宅と一般的に呼ばれる住宅街を行くだけで着く道のりである。この道に飽きるともっと細い路地を「ジグザグ」を繰り返しながら到達する方法に切り替える。しっかり手入れされた庭を持つ住宅が続き、植物や庭の好きな私には飽く事の無い光景が続く。低層の家並みは裏道に回れば回る程庶民的で、玄関先のささやかな庭作りを観察するだけでも、そこそこに季節の変化さえ感じられて嬉しい。実は『池袋ウエストゲートパーク』で名を馳せる石田衣良の小説の中にも、この裏道にある「目白庭園」あたりが舞台として設定されているくだりもあって、ちょっとした観光気分にもなれるのである。
 一方、池袋からの道ともなると、駅前周辺の高層ビル群を背中にやや複雑な道を歩くこととなる。特徴はその高層から一気に低層に入るその風景の変容だろうか。池袋駅まで5分の住宅地ともなればかなりの利便性も高く、住宅地はまるでしのぎを削るような密集度となる。こうした場所にはおよそ信じられない「路」が存在する。これが面白い。人がやっと一人通れる程の空間が200m程続く。人の庭先、軒先をかすめるように通る。こうした路がどんなふうにできたのか、想像力を刺激する。普通ならこの路を歩く必要性も意味も無いのだが、この路を一人通り過ぎた瞬間、何やら懐かしい秘密の路を抜けたような開放感に浸るのである。 
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