今年で三回目となる彫刻科講師展が始まった。
この展覧会のきっかけは、「すいどーばた」という教育の場を共有する私たちが、講師と学生、そして彫刻(家)という関係の特徴を織り込みながら、何かメッセージを発することができないか、との思いからであった。ただ下地には、偶然とは言え、世代を超えて集まった講師の作家としての共用性、そしてともすれば単調ともなりかねない受験へのカンフル剤ともなればとの思いもあったのだが、実際には言葉で指導する講師にとって、作品は将に自己の生身を曝すことであり、グループ展とは言え、そうそう半端にはできるものではない。「少しは俺らの力を学生に見せてやろーじゃないか!」ぐらいの鼻息の荒さも少なからず必要なのである。
話し合いの上決定した「RE:」とは。
若き学生達と同様に、私たちにも確かに存在した、自らを彫刻の道へと導いたなにものかの体験や記憶、そして出会いとしてのオマージュへと追想、回帰してみることで、それぞれの原点や制作の根源をあらためて見つめ直してみる。これをコンセプトして隔年毎に違うテーマを設けながらの実験的展示を行っていく、というものとした。
そして今年度のテーマは「現場」。
以下が展覧会のメッセージである。さてさて、いかなる結果となることやら。
RE:2008
-彫刻家の現場-
7人の場合
彫刻家が彫刻を産み出す現場。それは素材が形へと変容を遂げ、彫刻として成立していく瞬間をも意味する。同時に空間としての環境、時代としての背景とも関係しながら、彫刻家は将にその現場で自らの手法を持って彫刻の生成の為に格闘するのです。
今回の「RE:2008」では、各作家の作品と同時に、作家が織り成す様々な現場との関係をも紹介しながら、作家の生きる「形」に迫ろうとするものです。
