●不必要の意味
「超芸術トマソン」というのがある。赤瀬川原平らが唱えた芸術上の概念で、例えば使用方法も不明でその場には不必要なものであるにもかかわらず、何故か美しく保存されている構造物とか、全くその場所にはそぐわないものなのに何故かそこにある物。つまりは無用の長物を意味する。トマソンというその語源もかなり際どいのだが、こうした無用の長物への愛すべき眼差しや想いが感じられて、とても楽しく、ハッとする。
しかし、不要だから「つまらない」とか、意味が無いから「存在価値が無い」ということも無く、いわば、そうしたものにこそ面白さも美しさも存在するという発想は、いわば健康的で常套な美術の考え方である。
物事はその「意味」において有用なのではなく、「美しさ」や「面白さ」「不思議さ」といった感性や感情と直結し、意味へと変容してくのである。