●暗鳥乱舞
学校の仕事で、近隣の美術系高校などへ出向いて受験相談や実技指導を行う「校外講習会」というのがある。10月から11月にかけてはそのピークであちらこちらに「旅」をする。近郊の場合は日帰り出張となるのだが、私のように学校まで2時間以上となると時にはかなり強行な日程となる。場合によっては往復10時間、指導2時間ということさえある。帰宅時の足はもう硬直した棒に近いものがある。先日行った某美術系高校の講習時も、やはりかなりの疲労の中の帰宅路となってしまったのだが、講習を終えてタクシーで向かった駅である異常な光景を目にした。
巨大化した駅の、それも眩しい程の照明の上空を恐ろしい数の鳥が舞っていたのだ。その塊はおよそ考えられない程の素早さで急旋回を繰り返す。太陽を天に飛ぶのではなく、地上の明かりを天にし、黒々とした集団が墜落するかのような狂気を秘めて舞っているのである。
天と地が逆転したかのような集団の舞いは、それはそれは不気味で、地上を行き交う人の群れと層を成しながら錯綜しているようでもあったが、誰一人として空を見上げる人はいなかった。その光景こそが二重に恐ろしくもあった。
しかし、よく鳥は空中衝突しないものである・・・・。すごい・・・。