●夏の香り
長い夏の講習会が今日終わろうとしている。昼コースの最終日は恒例のそれぞれの成果を問うコンクール。学生達は採点の間、緊張の面持ちで結果を見守っていた。一方でこの緊張感を根こそぎひっくり返す程の強烈な臭いが館内、アトリエに漂っている。こちらも夏恒例の夜間塑造課題の最終モチーフである羊、ヤギの「生」な臭いだ。
まぁ、言ってしまえば糞尿の臭い。コロコロの納豆仕立ての糞のかわいらしさに比べて際立つ臭いは液体の方。放たれ広がり蒸発していくエネルギーと共に発散し湯気立つ程の臭い。臭いは存在の強度そのものだ。と表現してみたところで、つまりは凄く強烈に臭いのだ。吹き抜けになった本館の中央はもう彼等の棲み家となっている。犬のマーキングとかそんな生優しいものじゃない。その中央から放たれた彼等のエキスは、絶え絶えになるまで頑張り通した学生に「運(うん)」と「命」の存在を最後の最後に彼らの神経を逆撫でるように与えて行ったのです。きっときっといつか必ず糞尿の香りと共にすいどーばたを思い出すことでしょう。
しかし、ご存知ですか?この臭い、その中にしばらくいるともう同化してしまうのです。
私だって動物なんですから。