●ゲーセン宝塔
めったに行く事は無いのだが何かのついでにフラッっとゲームセンターへ入ることがある。
ゲームをする訳ではない。
あの騒々しさになじむ訳でもない。
ただ異次元とも思われるこの空間世界に惹かれるものがあるのだ。
郷愁に満ちたメリーゴーランドのような、あるいは逆に一触即発のカタストロフィーのキナ臭ささえ漂わせる空間、そんな空間に惹かれるのだ。それは、昔、子供の頃に見た祭りの光景とも重なり交差し、全ての感情を逆撫でしながらも何か温かさに包まれる不思議な感情だ。
仏教世界に「宝塔」というのがある。釈迦が説法をしていると大地から金、銀、瑠璃などの七宝で造られた巨大な塔が涌出し、空中にそびえるというものなのだが、いわば恐れ多くも視覚的にはそんな瞬間の様相なのだ。
ゲームセンターが宝塔?いやいや、あれ程の喧噪、まがい物のきらびやかさ、欲望に流されない自己。きっとそんな精神の中にこそ宝塔は出現するのだろう。
ゲーセンで合掌する私でした。