●センター試験の静寂
センター試験が始まった。美大受験生にとっては将に鬼門。「学科勉強が苦手だから美術してるのにい〜」とか「美術に夢中で学科勉強の思考回路停止なんですう〜」といった自己弁解もこの時ばかりは空しく、無くなりかけたマヨネーズの入れ物から将に絞り出すような必死さに変化する。勿論こうならないように一年かけて説得もし「脅し」もし「懇願」もしてきたのではあるが・・・・。
よく、昔の受験生で「実技はトップだったけど学科が〇点で芸大落ちた、んだぞ!」と自慢げに話す人が沢山いる。実際には美術だって「筋肉」で物事を生み出す訳ではないのだから「思考」回路は重要なのだが・・。
この手の話しは作家が自分がいかに貧乏であるかを自慢し合う状況にも似ていて興味深い。純粋であることの証明には「悲劇?」は付き物とでも言いたげで。
さて、どばた彫刻科の中でも近年著しい現象がある。それはこのセンター試験前の1週間?10日間は学生の出席が著しく減って行くという現象。昨年はなんと試験前日には「0人」となってしまった。珍事ではあるがリアルである。学科予備校では「エイ、エイ、オー!!」の掛け声で気合いを入れる光景がテレビで流れるのだが、逆である。人っこ一人いない閑散とした静寂がアトリエを包む・・・。これが美大予備校の悲しき現実なのかと呆然とする。
一夜漬けで鍛えた脳みそが、マークシート式の鉛筆転がしの運試しに効力を発揮するか。悲しき予備校生のチャレンジは本日クライマックスなのだ。
「諸君の未来圏から吹いて来る 透明な清潔な風を感じないのか」
宮沢賢治
アトリエより飛行機雲を望む
頑張れ受験生!!