●ゴミと彫刻
「ゴミ捨て禁止」、至る所に見つけることのメッセージ。よく思うのだが、捨てる輩は捨てることが悪い事も、ものによっては犯罪であることも承知でやってる確信犯に近いのだろう。その意味ではこうした張り紙が有効だとは思わないのだが・・・。ましてやそうした張り紙に捨てられる側の怒りや恫喝が加わると、捨てる側の悪意に満ちた対抗意識はさらに増幅されるようである。
よく「汚い場所には彫刻を置け」なんて言われたものである。つまり環境を変化させる為の有効な手段だということなのだろう。
この手の話で思い出すことがある。
以前、野外シンポジウムを企画した折りに、オーストリアの作家が作品設置に「ある場所」を選択した。それは湖畔の森の中の「ゴミ捨て場」だった。
作品は「晶」(クリスタル)という漢字をコンクリート素材で立体に起こし、その中にタイマー仕掛けの電気照明を入れたものだった。昼の間その作品はゴミにまみれて作品としての判断は難しい。しかし夕暮れと共に日が落ちるとその「晶」は鮮やかな光を放ち発光し闇の中に浮かび上がる。そのコントラストに拍手喝采したものである。
とりわけその場所は、湖水で毎年行われる花火の眺望の場でもあった。
「花火、きれい!!」といいながら捨てられるゴミ。いみじくもそんなコントラストとも似ていて想いは一気に複雑になるのである。
とりあえず、自分の作品が「ゴミ」と言われないようにとも思うのだが、未だに自信が無い。