一年を通じて何回か校外講習会なるものに参加します。これは地方にある美術系高校や教育委員会等が主催する高校生の美術の実技指導を行うものです。
全国に沢山の美術系高校がありますが、すいどーばた美術学院へ依頼される高校は特に高いレベルを持つ高校です。指導する先生も非常に熱心で驚かされます。こうした学校から夏の講習会となると全国から学生が集います。私はそれを「夏の美術の甲子園」なんて呼んでます。それほど優秀な高校生があつまります。
今回指導に行ったのは静岡県のS高校。校舎から太平洋が見渡せるなんとも優雅な立地条件。教官室からの眺望に見とれ吹き込む風も心地よい、そんな感じで始まり始まり。普通なら彫刻コースの学生はデザインや油絵に比べて極端に少ないのですが、この学校は同程度の学生、それも女子生徒ばかり(どこへ行っても美術系高校の殆どがなぜか男子が少なく女子校のようになっては」いるのですが・・・)。
担当の先生から紹介され次々と出されるデッサン、塑造作品にコメントを加えていくのですが、どうも何か様子が違う・・・。つまり指導すべき言葉が見つからなくなる・・・・何を指導すべきかがあやふやになってくる、いや、正確には僕の指導なんかいらないのでは・・とさえ思えてくるのです。
決してデッサンも塑造も洗練され、うまい訳ではないのだけれど、何かイイ・・・。
そうなんですね、生き生きとした魅力とパワーが全体から感じられ、何かしら予備校が忘れていた何ものかを再認識させられる。指導に行ったつもりが逆にお土産付きで招待されたお得感。そういるんですね、熱心な先生が。
「芸術家はいい景色の中に住むべきだ」なんて言葉がありますが、きっと大らかな太平洋、水平線が分かつ空、そんな景色の中にも秘密が隠されているんでしょうね。

