「インタビュー企画第41弾」
2022合格者体験記特集
2022年度の合格体験記をまとめました。
それぞれが受験生としてのリアリティーを持っています。
来年、受験する方は是非参考にしてください。
また、今年は2名の保護者の方に<見守り体験記>も書いていただきました。
小柳湧志さん
福岡・私立九州産業大学附属九州高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「受かると決めたなら」
試験当日
どれだけ実力があろうが
どれだけお前なら受かると言われていようが
最終的に自分から受かりに行かない限り合格は手に入りません。
一次通ったらなんとなく二次も受かるかも!
なんてそんな甘い世界じゃないんです。
試験当日に自分を信じられるよう過ごして下さい。
自分を信じることが出来ればきっと良い結果が待ってるはずです!
その時まで頑張って下さい!!!
→→やるしかないんだぜ〜〜イ
<見守り体験記>
小柳真夢さん
「お年玉でラオコーン!で参った!!」
息子は高校生の時に、お年玉全部で
自宅デッサン用にラオコーンの石膏像を買いました。
まだ描くの?と思うほど毎日毎日遅い時間まで、
デッサンの練習をしていました。
高校は彫刻科、学校でもデッサン、家でもデッサン&彫塑。
俺は藝大にしか行かん!高校一年生から一途に宣言する息子を
応援しない理由はありませんでした。
福岡を離れ、東京の学校に通わせる...最初はとても
親として不安でしたが、自炊したり、すいどーばたで友達も増え、
切磋琢磨している様子を息子のインスタやツイッターで見ていると、
画塾に行かせてよかったな〜と思える日々に。
一生懸命努力しているのは息子なのに、なぜか?私も一緒に
学校に通って頑張っているような気になっていました。
そしてついに!2022年、2浪を経て東京藝大合格!!
母さん感動しました 合格おめでとう!!
谷口敦暉さん
東京・都立武蔵丘高等学校
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「生活面について」
主に来年以降の受験生に向けて。
実技面は他の上手な人や、講師の先生がいろいろ言ってくれると思うので他のことを書こうと思います。
僕は以前どばた以外の予備校にいて、そこでお世話になった先生はよく
「空間使えないなら彫刻やめたら?」と言っていました。
どういうことかというと、彫刻科は同じ空間、つまり同じ場所、同じアトリエ、同じ粘土、同じ道具を使って制作するため、各々が自分、あるいは周りの人を気遣って物を管理しなければいけないということです。
人の通行を妨げるような私物を床に置かない、使った道具は元の場所に片付ける、切った木、木屑は捨てる、番線は真っ直ぐ伸ばして他の人が再利用できるようにする、作った作品を作って終わりにせずちゃんと自分で解体する、など
沢山ありますが当たり前の事ばかりです。
僕自身は最後まで塑像があまり上手では無かったのですが、下手は下手なりにこういった当たり前の事だけは気にして制作していました。
生活面の緩みは確実に実技にも影響します。
逆に、そこを引き締めるとちゃんと実技の結果に結びついてくるのではないでしょうか。
以上で僕の体験記は終わりです
今までお世話になった講師の方々
支えてくれた家族、友人たち
本当にありがとうございました。
高木洸佑さん
熊本・県立第二高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「自分だけじゃない」
ずっと自信が持てませんでした。
始めは自分のデッサンはあまり好きになれず、粘土も苦手意識から来る不安で目の前が真っ暗な状態。それでも、講師や周りの浪人生たちの意見を一つの頼りとして見て努力してきました。努力が報われない期間もありましたが、最後の最後に努力は自信へと変わり、作品も自分の色が綺麗に出るようになりました。
足りない部分や改善点を常に考えていました。
他人からの冷たく鋭い客観的視点がそれらを素早く見つけるアイテムだと思っていました。相手からの意見をしっかり噛み砕いて、自分の作品に照らし合わせることを繰り返すうちに、自分の作品のレベルであったり状態が正確に、冷静に認知できるようになりました。
自分を支えて頂いている人、競い合える人。
そんな存在が居てくれることに感謝しています。
伊藤陸宮さん
東京・都立総合芸術高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「わからん!」
僕はどばたでは不真面目、、、マイペースな生徒だったと思います。
先生には呆れられていたでしょう。
本撮は最後まで出なかったし、コンクールでも粘土のB゜は出せなかった。
デッサンも上位には殆どなれず、忸怩たる思いがありました。
一浪の春を過ぎた頃、先生に「リクはなんか4浪とかしそうだよね〜」と言われた言葉は定期的に僕の耳によみがえってきたりしました。
入試直前
「周りよりも出来ていないこと」を探せば無限に見つかってしまう。
自分を追い込んでも力が出せない。
気持ちが負けないように、実技が嫌いにならないように、気分転換や休憩を挟む事は僕にとっては必要なことでした。
1番最後に
僕が大事にしていたのは自分が描きたい!作りたい!と思ってる状態で試験を受けることでした。
合格嬉しいです。
恩師である諸先生方、お父さんお母さん
ありがとうございました!!!!
今里亮介さん
熊本・県立第二高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「イメージ」
金属バットが 真夜中にうなりをあげる
治療法もない 新しい痛みがはしる
クダらねえインチキばかりあふれてやがる
ボタンを押してやるから吹っ飛んじまえ
イメージ イメージ イメージが大切だ
中身が無くてもイメージがあればいい
イメージ イメージ イメージが大切だ
中身が無くてもイメージがあればいいよ
斉藤夢羽さん
岩手・県立不来方高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「難しい世界」
東京芸大合格。
こんなに嬉しくて、こんなにも悲しい。
こんな複雑な心境になるのは、人生でもこの1回きりにして欲しいものです。
一浪目の春、初めて予備校というものに通い始めました。仲間がいて、敵がいて。
たくさんの人と学び合える環境だったからこそ、たくさん成長出来ました。
1年間、互いに色んなことを学んだから、皆一緒に合格したかった。けれど定員は20名。
発表の時、自分の番号があったにもかかわらず、悲しい気持ちや悔しい気持ちでぐちゃぐちゃでした。
でも皆、どんな進路に進もうと、なんだかんだで美術の世界に生き続ける。ずっと良きライバルだと思っています。
皆と、これからも戦い続けます。
竹林満里奈さん
長崎・私立長崎日本大学高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
東京造形大学 彫刻専攻領域
「自分よりたしかなものなんてない」
「失敗は本番に持っていけばいい」
これは自分を合格に導くおまじない
毎日の様に描いたり作ったりする作品は、毎回良くも悪くも沢山の反省があった。
それに3浪になって、やっと気づいた。
失敗して落ち込むより効率で考えたら自分の弱点の反省と対策を練る方が近道だろう。
自分を助けてあげれるのは自分しか、、いない。
失敗が嬉しかったわけじゃないけれど、失敗のおかげで気づきが生まれ、どんどん自分が変わっていくのが少し嬉しかった。
失敗や自信が無いのは悪いことじゃない
!!!むしろラッキー思考!!!
3浪目の最後は私が私のヒーローになった
杉山吟さん
東京・私立足立学園高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「自覚」
「自覚する」ということは自分にとって最も優先される重要なことだ。
なぜなら自覚することで全ては始まるから。
今自分が置かれている状況、なぜ実技がうまくいかないのか。理不尽に思うこと。そんな自分に降りかかるもの全て、だいたい自分のせいで、自分の弱さ、浅さ、未熟、厨二病、かわいそぶり、腐り、借り物の気持ち、それに気づいた時それをちゃんと認めること。
そうしたらやらなきゃいけないこと、直さなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことが見えてくる。
自覚さえすれば、次の選択肢が出てくる。
もし自覚したことを忘れたり、選択したことが間違っていて、また振り出しに戻っても構わない。
何度でも痛い目を見て気づくべきだ。
できた人間じゃなくていい。
何周も何周もして太く重く深く、見た目は変わらなくても信用できる自分になっていく。
<見守り体験記>
杉山孝順さん
「小学生から剣道漬けだった息子が、高一の進路指導で突然美大に行きたいと言い出しました。
それからは剣道と美術の二刀流。
毎日が大車輪。
最初は上手くなりたいだった気持ちが、こんな物が造りたい、こんな事もやってみたいに変わってから、彼の中で美大に行く事はゴールでは無く、スタート地点に代わって行きました。
伸び悩みや、コロナ、色んな問題で息子の眉間に皺が寄る事が多くなった高三の夏。
初めてのどばた夏期講習。
息子の表情がガラッと変わりました。なんてイキイキとして楽しそうにしているんだろう。予備校によってそんなに違うもの?
確かめるべく向かった一般公開の講習会で私が感じた事は『楽しい!』そして講師人が『熱い!』これはキラキラしてしまう!!
何かを造る事は、基本ワクワク楽しい事だったはず。でも美大受験と言う中で忘れがちになってしまう感情。それを思い出してがんばれたのは、講師の皆さんの物を造る姿勢、掛けてくれる言葉の数々だったと思います。
この春、息子はいよいよスタート地点に立つ事が出来ます。
今まで彼に携わってくれた全ての人に心から感謝します。本当にありがとう御座いました。
そして、スタート地点に立つ息子へ
そんな簡単な道では無いのは分かっています。でも、あの夏のワクワクを忘れずに自分の足で突き進め!母はいつだって応援してます!
清水凜さん
東京・都立総合芸術高等学校 現役
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「たくさんの人に支えられて」
PDCAサイクルをまわす
P: Plan(計画)
D: Do(実行)
C: Check(評価)
A: Action(改善)
これを母から教わりました。
これはとても大事だと思います。
しかもそれを「やり続ける」こと。
ポジティブな方向に気持ちを持っていってやりきる。
やりきったら冷静な目で見直してできていないところを修正する。
また次の計画を立て準備をしっかりしてやりきる。
この繰り返しです。
描けない造れない、そんな時期を楽しむことも大事だと思います。
スランプというのは、いつもより少し高いハードルが目の前に立ちはだかってうまく前に進めない。そんな状況。
でもプラスに考えて、この時期を乗り越えたら成長できる!と思い込む。
だからつまずいてると思ったらこれを乗り越えたらまた今よりもさらに上に上がれるチャンスだ!と考えて気分を高め、どうにか戦う。
私は考えすぎてしまう癖があった為、常にどうにか思考をプラスに持っていくようにしていました。
あとは自分をよく知る事も大事にしていました。
素描ではどんな心境の時うまくいっていて、どう感じながら制作すると納得する作品が生まれるのかを知る。
自分なりの描き出し方や、自分の作品の魅力とは何かをじっくり考えたり。
塑像では作り出しや作りこむ上でのルーティンを決めて、また自分が何が好きでどんな形を作りたいかなどを知る。
たくさん周りから影響は受けつつ、でも決して流されることはないように、せっかくどばたで最高の環境で制作ができるのなら、その環境を最大限に活用させてもらうことが良いと感じていました。
お世話になった講師の皆様、失敗した課題でも多くの学びとたくさんの気づきを与えてくださり、ありがとうございました。
的確なアドバイスをくださった先輩たち、コンクールや授業課題でやる気を奮い立たせくれたどばた生、色んな相談に乗ってくれた同期の皆、ありがとうございました。
そして、毎日お弁当を作ってくれたお母さん、毎晩深夜の帰宅を待ち、コンクールで順位が良くても自分の未熟さに何度も気づかせてくれ、家でも講評してくれたお父さん、1番そばで支えてくれた家族には感謝しきれません。飴と鞭の割合最強でした。
今回の結果は、今後の自分の活動の励みとしてこれからも精進し続けます。
気づいたらたくさんの人に支えられてました!
ありがとうございます!!
新井馨さん
群馬・市立高崎経済大学附属高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「どうしてこうなった」
自分は現役生の時、油画科の金沢美大志望でした。何がどうなって油画科金美志願者が彫刻科藝大志願者になったのか...みんな不思議がって聞いてきてたのでここで話そうと思います。転科を考えてる方の助けになったら嬉しいです。あと長くなると思うので読む方にはご迷惑をかけます...。すみません。
〜経緯〜
浪人が確定してからどばたの油画科の面接に行き、先生にここは金美には向いていない、そして君は何がしたいのかよく分からない。遠回しにそう言われた気がしました。そもそも現役時も油画科と彫刻科で迷ってましたし、抽象的なものより写実的なものが好きだとか石膏デッサンが好きだとか金銭的に公立が良いだとか言う大雑把な理由で金美を志願していました...のかもしれません。自分が何をしたいのか、何になりたいのか、完全に迷子になりました。悩んだ挙句彫刻科への転科を考えてすいどーばた彫刻科の小川主任に相談することになりました。
そこで小川先生は「1度体験入学という形でいいから彫刻科に来てみて、それから考えてみないか」と快く迎え入れてくれました。それがすいどーばた美術学院彫刻科の門を叩くきっかけでした。
そして、体験入学中の手の塑像課題の時小川主任から、
「彫刻向いてるんじゃない?」
と言われました。正直、先生もただの優しい嘘であり本当はそんなこと思ってないんじゃないのか?などと弄れた考え方をしていました。ですがメンタルをズタボロにされた当時の自分には仮に嘘だったとしても誰かに認めてもらえた感じがして凄く嬉しくて、これを機に色々と深く考え直しました。
転科して現役生の経験が全て無駄になってしまうのではないか...みんなより1年出遅れても戦っていけるのか...親の金を無駄にさせてしまわないか...自分は本当に彫刻が向いてるのか...というか自分はそもそも美大に向いてるのか...はたして将来どうするのか...堅実な選択だったのか...自分は何になりたいのか...今何をすべきなのか...全てが不安でした。
ですが...!と言いたいとこですがこれは無理です。常に悩んで苦しみながら生活していました。僕に限らず多くの人が苦しいかと思います。でも悩みながらも最後まで彫刻科として受験を乗り切れたのは、同じ苦しみを知ってる講師の方々や同じ浪人生や常に自分の味方でいてくれる親などの優しい言葉に励まされたからだと思います。
ぶっちゃけ彫刻科に転科したことが本当に最善策だったかとか誰も知りませんし、美大に入ったから将来がどうとかなってみないと分かりませんし、何かを選ぶなら自分が楽しめるか納得できるかまたは続けられるかを基準に決めていいのかなと今では思います。
〜実技について〜
油画科から彫刻科に転科して正式にどばちょうに所属し、初めてのコンクール。最下位を取りました。採点シールすら貼られてません。絶望しました。
田舎のちっちゃい高校ですこーし塑像を齧った程度の実力ではどばたの彫刻科にはまったく歯が立ちませんでした。
そのコンクールで自信もプライドも悉くへし折られてまったくもって合格する未来が見えませんでした。でも入学した以上ここでやめるわけには出来ず、何より莫大なお金を投資した親に合わせる顔がありません。
そこで何一つやり遂げることができなかった自分に人生で初めてスイッチが入りました。とりあえず実技を伸ばさなきゃ、どこの美大でもいいからとりあえず受からなきゃ、と思いビビりながらも話したことも無い実力者の多浪生に話を聞きに行ってみたり...できる限り表現方法を吸収出来るよう、彫刻科に限らず参作室にある全ての参作を見たり...先生の言ってることが分からなかったら正直に聞きに行ってみたり...その他にも自分が思いつくことはできる限り試してみました。この約1年間の間に自分より明らかに経験値も実力もある周りの生徒を追い越さなくてはいけない事実にまたも絶望して、体調もメンタルも崩しまくりの生活でしたが諦めず頑張りました。少しずつですが実技も成長しました。自分の実技はほとんど見様見真似で得た小手先のテクニックであり決してオリジナルとは言えませんでした。悪く言えばパクりであり良く言えば模倣です。恥ずかしがらずに色んな人に質問しに行くことでかなり有益な情報を得ることは多かった気がします。
沢山の人のアドバイスや知識を鵜呑みにはせず、でも頑固でワガママにはならず常に柔軟に、正しい知識なのかまたは自分のやり方に合っているのかしっかり吟味しました。
他にも実技では常に成長させるようデッサンでも塑像でも1課題でも必ず「この課題で自分の実技を変える」と常に変化を求めていました。もしそれが悪い変化だった場合は先生方が軌道修正してくれます。個人的には、変化を求めない時は今の自分の実力に僅かでも慢心してる時だと思います。今でこそ言えますが常に1位を取るような実技を目指して周囲の仲良くしていた友達も本番では殴り倒してやるくらいの気持ちを隠して接していました。
〜最後に〜
実際転科してわかったことは油画科の木炭デッサンの経験で絵にするのが早いのと、魅せ方にバリエーションがあったこと、トーンの合わせ方など、思ってたより自分の「個性」として強みになったと思います。僕に限らず転科してきた生徒は何かしらの強みがあると思うので変にみんなと違うことを恐れない方がいいかなと個人的には思いました。
あと、初めて小川先生に褒められた手の塑像が二次試験の課題に出たのは運が良かったなぁと思いました。
関楓矢さん
東京・都立総合芸術高等学校 卒
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「楽しむ」
メリハリが大切だと思います。
気合を入れる、息を抜く。
後者が先行してしまわぬよう、
どばたには合格を掴むために来ていることを忘れず、基礎をおろそかにしない。
自己の表現やこだわりも大切だけど陶酔せず、受験には「評価する人」がいることを常に意識する。
また、たとえ行き詰まった時でも制作中は彫刻を楽しんで、その他の迷いはアトリエに持ち込まない事。これらが私の支えになりました。
彫刻って本当に良いもんだ!!
みなさん体験記ありがとうございました。
これからの受験生の参考になれば幸いです。