「インタビュー企画第39弾」
2021合格者体験記特集
2021年度の合格体験記をまとめました。
それぞれが受験生としてのリアリティーを持っています。
来年、受験する方は是非参考にしてください。
また、今年も保護者の方に<見守り体験記>も書いていただきました。
嶋田一輝くん
茨城・県立取手松陽高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「一歩」
〜自分の彫刻〜
まだ美術高校の学生だった頃、(専攻を決める時)色々な科を体験してみた上で「彫刻」を選びました。理由は至ってシンプルで、「これは好きだ。楽しい」と思えたからです。どんなに実技が出来る人でも東京芸術大学を受験をする際、浪人は覚悟の上で受けてると思います。そして、もし自分のように浪人してしまった時にもう一年頑張れる「好き」や「楽しい」はとても強い力だと浪人をして感じました。
〜環境〜
自分は藝大志望が決まった際、両親に「一浪までは許す」と言われ受験し、結果的に二回連続で一次落ちしてしまいました。唯一受かった私大は金銭的に行かせられないと言われた時の絶望感は今でも覚えています。その時に初めて自分が"一浪まで"という言葉に甘えが出ていたのかも知れないと気付きました。
でも美術は好きだし、美大を諦め切れなかった自分は全力で父親を説得して、「予備校に近い埼玉(一浪までは茨城県から通っていた)からバイトをする条件で一人暮しをさせて下さい」と反対を押しきり懇願しました。
幸いにもどばたの奨学生制度がとても手厚く支援してくれたので、父との交渉が通りました。
最初は「バイトをしながらだと受験に集中できないのではないか」「疲れてしまって実技どころではなくなってしまうのではないか」など不安がありましたがそんなことは無く、逆に新たな環境に置かれて実技を含め毎日が新鮮に感じられました。以前の様にどばたから帰ったら夕飯が置いてあるとか、洗濯物が畳んであるとかは当然無くなってしまいましたが、良くも悪くも「自分を管理していく力」はそういう環境下に置かれる事で自ずと身につける事が出来たと思います。
〜すいどーばたでの生活〜
どばた昼間部での生活を一言で言うと「楽し過ぎる」。実技一色にならないよう球技大会、打ち上げ、研修旅行、山登り、挙げていくとため息が出るくらい一年で楽しいイベントが詰め込まれています。ずっとここに居たいと思ってさえいました。同じ志を持つ友達と過ごすから尚更。ですが今年はコロナ禍でそんなイベントが全潰れしました。最初は残念でしたが、「もうここには実技しか残されてないのか」とふっ切れて、受験というものがより強く感じれたので結果的には良かったのかなと思います。
高2の11月から基礎科に通い始めて二浪した受験生活だったのでもっと長々と語る事は出来ますが、為にならないと思うので体験記はこのくらいにします。
最後に自分を支えてくれた高校の友達、先生、美術の面白さを教えてくれた中学校の美術の先生、自分に受かる理由を与えてくれた基礎科、受験科の講師。両親並びに祖父母に感謝します。長い文章に付き合って頂きありがとうございました。
水上修人くん
東京・明星学園高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
武蔵野美術大学 彫刻学科
「サンダルにGがハサまった事もある」
友達がバンクシーかもしれない
父がエヴァに乗れと言うかもしれない
前澤友作に100万円貰えるかもしれない
試験に落ちるかもしれない
一生報われないかもしれない
今死ぬかもしれない
そんな時に、それらを受け入れて自分を信じてみる
信じた自分に裏切られるかもしれない、泣きたいくらいカッコ悪い自分を知るかもしれない。でも自分の理想にウソをつく事は絶対にしない、そしたら昨日の自分より今日の自分をちょっとだけ好きになれると思います。
古賀悠悟くん
東京・私立海城高等学校 現役
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「考える」
映画のCGに興味があって、将来はその道に進もうと思っていました。初めは専門学校に通うつもりで藝大を目指すつもりは無かったのですが、高2の秋頃に「道具の使い方を学ぶより、表現の方法を学んだ方が良い」と言われたことをきっかけに、彫刻科を目指そうと決めました。右も左も分からない状態で、一番彫刻科への合格者の多いすいどーばたに入ることにしました。
基礎科に通っていた頃は、とにかく下手でも丁寧に一歩ずつ形にするということを大事にしていました。
基礎科の先生に夜間部を案内してもらったときに「一年後にはこれくらい描けるようになる」と言われても、とても自分がそれを描けるようになるとは思えませんでした。だけど一歩一歩そこに近づいて、最終的には浪人生と戦っていかなきゃいけない、そのためには毎課題少しでも上手くなっていくしかないんだと思っていました。
これからは浪人生のレベルに追いつくということを本格的に意識していこうと思っていた矢先、コロナウイルスの影響で夜間部の授業はリモートで行われることになってしまいました。リモート授業はあまり集中出来なくて、いかに自分が周りから刺激を受けて制作していたのかということを痛感しました。一浪生と現役生は講習会を除けば制作時間に3倍の差があります。集中出来ない一方で常に差が開いてしまうという焦りは大きくなっていきました。
リモート授業が終わり本格的に制作が始まって、差を埋めるためにはがむしゃらにやるだけではだめだと思うようになりました。自分に何が欠けていて何ができるのか、上手い人はどんな考え方をして手を動かしているのか、どばたが無いときでも考え続けていました。
最終的にはデッサンや粘土のやり方、作り方はもちろん、制作に対する態度に関して学ぶことが多かったと思います。自信を持って、かつ謙虚に作品に向き合うという姿勢はこの一年で新たに身についたものです。これがどばたで得た何よりの財産だと思います。
試験当日は、デスケルを持つ手は震えていたけど、普段どおりのものは作れたと思います。二次試験は課題こそ見慣れない形式ではあったものの、求められていることを考えて、その枠の中で最大限良い作品を作るというところは普段と同じだと思って作りました。
学校の友達、どばたの友達、講師の方々、両親、大勢の人に「おめでとう」といわれて、自分がどれだけたくさんの人に支えられてきたのかを改めて実感しました。ありがとうございました。
まだスタートラインに立っただけだと思っています。目標を目指してこれからもがんばります。
秋谷望月くん
東京・都立総合芸術高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「モチーフに感動を。作品に念いを。」
現役時の受験では、自信満々に描いたデッサンがまさかの一次落ち...。 この直後から、強いショックと共に自信と確信に揺らぎが出てしまった。 「うまいデッサンとは何だ?」「そもそもうまければそれでよいのか?」「何を魅せる?」 「どう描く?」「どう創る?」「自分の魅力は何だ?」...負のスパイラルに落ち迷宮の中に棲んでいるかのようだった。 そんな頃、リモートの課題で"鉛筆での素描"に取り組んだ。木炭にはない鉛筆の作り出す線や陰影に魅力を感じ、ただ夢中になって描き進んだ。とにかく夢中だった。そして楽しかった。 結果、その講評で「秋谷は素描を絵として魅せる事が出来るね」と言われ、"魅せる事ができる" という、もしかしての自分の長所をみつけたように感じた。 自分は真面目だ。それは、つまらない人間、普通だと言われているようで嫌悪してきた。 だけど、それを武器にしたらいい。欠点をことごとく潰していく!まずは、講評で指摘された事のある"形の正確性の無さ"を克服する為に、ひたすら"像の構造""動き""パーツの位置"等、考えられる"狂い"を無くした。時には鏡を使いデッサンを反転して確認したり、デスケルの線を増やしてみたり...とあらゆる事を試した。真面目に。 自分の欠点を無くした盤石の上で、長所であるはずの"魅せる"を創る為に、モチーフとの向き合い方を考察した。「モチーフを感じたらいい」「その魅力を感じたらいい」「そして何を伝えたいのかを感じたらいい」 あの素描の時の様に夢中になって取り組めば結果がついてくる。そうなると楽しい。そうなるとそれが作品として伝わる事が判った。 受かる為だけに向き合ったらつまらない。魅力が無ければつまらない。そこに自分が反映されているか?を見定めながら、自分に言い聞かせながら取り組んで来た。 最高のライバルたちと、時には仲間として楽しみ、時には嫉妬し、互いを高め合って来たどばたでの一日一日がとても愛おしい。それが自慢だ。最高の環境の中、これもまた最高の講師陣に恵まれた。ここで学んだ事が誇りだし忘れる事は無いだろう。 合格への道はひとりひとり違うと思うけれど、他人に惑わされず、自分らしい合格をつかみ取って欲しい。努力して来た自分を信じてほしい。
<見守り体験記>
秋谷 恵理子さん
「どばただから」
「画塾は、どばたにしたいんだけど...」 息子から相談されて、トクンっと小さなトキメキがありました。 ー何を隠そう、私もどばたにお世話になった一人だからです。 地方生だったため、講習会に参加するだけではありましたが、昼間部・夜間部共に受講し、慣れない都会でハードながらも充実した時間を得ました。 ーそうか。息子も、私と同じ空間で自分と闘うんだ... 通り過ぎたあの頃を懐かしみつつ、「どばたなら大丈夫」と、根拠の無い確信のようなものを感じたのを覚えています。 ー何故だろう?...どばたで学んだあの頃は、確かに私の人生の中で最も熱量が高くて、多くを吸収していたし、美大時代よりも充実していたとさえ言えるような...後の人生で困難があっても、どばた時代を思い返して、がんばれたんだよなぁ。 そんな事を考えていたら、息子はどばたに任せればいい!例え進路が実現できなかったとしても、人生の宝を得るはずだから!と決めたのでした。 ーなので、苦しさも悩みも喜びも経験済みな母は、息子の話をよく聴いた受験期間だったと思います。"聴く"って、耳と目と心はあるんですけど、"口"は無いんですよね。たまに苦言も言いましたが、彼はよくしゃべりました。母は、ひたすらあたたかいご飯を作り、聴きました。 一浪にはなりましたが、心配はしていませんでした。思った通り、昔から変わらない"どばたイズ ム(?)"を持った講師陣に支えられ、よきライバル達に刺激を受けて、この1年で心が太くなったようです。確かに綺麗事だけではなかったけれど、一浪して得たものは大きかったと思います。 親には出来ない支えをいただきました!どばたでの出会いは一生ものです。母も、あの頃の先生と手紙のやり取りが続いているんですから。凄いでしょ?
そう、どばただから大丈夫なんです。
町田芽生さん
栃木・県立栃木女子高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「浪人生活」
私は自信というものが全くありませんでした。
浪人からどばたに来て、知識も少ないし、コンクールは力が入りすぎて失敗してばかりで入直までB゜を取ったこともありませんでした。
なので、とりあえず試験ではできることを全力でやりきるということを大きな目標にしました。
今の自分は何を感じているのか
今日の実技の反省と改善方法
自分はどうして芸大に行きたいのか
芸大に受かるために今の自分に足りないことは何か
どうすれば足りないことが補えるようになるか
それを毎日たくさん考えました。でも、考えすぎるとだいたい上手くいかないということもわかりました。結果よりも毎日立てた小さな目標が達成できているかを大切にして過ごしました。
試験のときにできることを全力でやりきるという目標は達成できたと思います。
二次試験ではパニックになったりもしたけれど、最後は受験生ではなく「私」として自分の作りたいものを楽しみながら全力で作ることができました。
憧れの芸大に合格できてとても嬉しいです。
たくさんのことを教えてくださった先生方、毎日おいしいお弁当を作って支えてくれた家族、たくさん応援してくれたお友達、そして毎日駅までの長い道のりを頑張って走ってくれた私の愛車、本当に本当にありがとうございました。
これからも頑張ります。
團野安莉奈さん
兵庫・県立明石高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「まぁ知らんけど」
自分が「こういうものが見たいな、この世にあればいいな」と思うものを自分以外の存在との関係も考えながらつくれるようになること。
その為には他者の意見や作品に触れる必要があったし、経験や知識が必要だったし、自分が開かれた状態でいることが必要でした。
外からの情報は得れば得るだけ助けになると思います。それを使いこなす賢さも、大切です。
でも本当に重要な、向き合い、学ぶべき対象は、自然が自分の目の前で繰り広げている光景だと思います。
世界は自然で、自然はあるがまま、ただそういう形で変化しながら存在していて、それを受け取った自分という存在との関係でのみ生まれるものがあるんです。
他人ではなく、私だけが、あなただけが。
みんな別の個人ですから、別の形が生まれます。
私が介入し、表現することで人の中に起こせる共感や心の動きが必ずある。
そんな確信があったから、浪人生活はそれなりに一喜一憂しつつも、根元の所では諦めることなく安心して制作を続けられました。詰めを他人に委ねることは無かった。
基礎は逃さず、でも個人的な感動や性格も忘れずに。反抗や失敗をしていいと思います。自信がないなら恥をかくつもりでやるぐらいでいいんですよ。案外なんて事ないです。
精神論というより、全部ただの二浪を経た私の実感です。
だからまぁ、知らんけど
遠山蘭さん
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「伝えたいこと」
わたしは絵を描くこと、粘土遊びをすること、工作をすること、どれも大好きです。これは作品をつくることに直結します。
その延長線上に受験美術もあると思います。
過去の自分、もしくは 正解を求めて悩んでいる人へ
上手くなろうとなんてしなくていい。長く練習すれば誰だって必ず上手くなるから。優等生なんかにならずに、本番までに、熱く熱くたくさん試して、たくさん失敗して学んでください。かっこ悪くていい。取り繕わなくていい。理解されなくたっていいです。プライドなんてへし折って、しくじったらへへって笑ってみてください。死にはしません。
自分が見たもの感じたものを忠実に再現、表現するためにテクニックを使ってください。テクニックだけになってはいけませんし、自分本位になってもいけません。
自分が見たもの感じたものは何一つ間違っていません。問題はそれを伝えるためにいかに配慮するかです。信じてあげてください。
自分が腑に落ちるまで、納得するまで続けてください。絶対に手を抜いてはいけません。
そして、独りだと思わないこと。
周りを解ろうとすると、周りも歩み寄ってくれます。それを突き放したり、諦めてはいけないと思います。周りと繋がっていることはとても大事なことです。
これは決して馴れ合いなんかではありません。大切だと思う人をちゃんと大切にしてください。自分の居場所を自分でつくってください。当たり前だけど結構見落としがちです。私たちは独りで戦っているわけじゃない。
とにかく何事も自分なりの向き合い方があるはずです。それをどれだけ時間がかかってもいいから自分で自分のやり方で粘り強く見つけてください。
まずは自分を理解して自覚することから。
自分は何が好きなのか、何をしている時が居心地がいいのか、何が嫌いなのか、小さなことでもいいから誰にも言えないことでもいいから自信を持って自分の中で言い張ってください。
そういう一つ一つが、毎日の自分をつくっていると思います。そしてそれは自ずと作品に現れます。だから、小手先のテクニックだけではダメだと思うんです。取り繕ってもそういうのってバレます。受験美術での作品って自己紹介だから。
高3から昼間部に来て二浪まで、わたしの受験期間は一筋縄ではいかないことばかりでした。息苦しい毎日でした。だってこんなことをうだうだと考えるタイプだから。煮詰まりすぎて疲れちゃいます。
そんな中で、友達と語ったり出掛けたり、作品を褒めあったりする時間は、とても夢のような幸せな時間でした。たくさんの成長のヒントが散りばめられていました。
わたしは未熟だし、すぐに意地張ったり強がったりしてしまいます。そういうのを見破って、愛情を持ってコミュニケーションを測ってくれる周りの人達に本当に感謝しています。出会えて良かった。
忙しなく時間をかけてあーでもないこーでもないって直向きにぶつかり合って、やっと少しだけ生きやすくなってきました。
合格は通過点です。そこにあまり囚われずに、まずは自分の納得のいくものを責任を持ってつくってください。そうしたら必ず認められます。浪人も大学生も作家も作品をつくることに何の変わりもありません。同じ時を過ごし何かを残そうとしているただそれだけ。そしてこれからも続いていきます。美術はこれからもわたしの救いです。
浪人して本当に良かった。
梅北佳雅くん
埼玉・新座総合技術高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「気付きは大事」
現役の試験前日、センター試験の受験票が無いことに寝る直前に気付きました。心拍数が跳ね上がったまま寝る事になりました。当日、明らかに色がおかしい受験票のコピーを気休めでカバンに突っ込み絶望しながら会場に向かいました。コンビニでコピーした後はちゃんと原本も持ち帰りましょう。何度だって受験票があるか確認しましょう。地獄を見ます。なんとか受けられましたけど。
現役で落ちてしばらく休みの日が続き、春季が始まりました。試験後初のデッサン、何かを掴んだ気がしました。その時は何かを掴めたという事よりも「初心に近い時の制作は視野が広くブレイクスルーが起きやすい」という事に気付けた事が良い学びになったと思います。それまでは作業的で同じ事の繰り返しで制作していたのですが、そんな事をしていても新しい気付きは生まれないと思いました。その後も息抜きと気付きを繰り返しながら試験を迎え、当日も普段のように自分の作品に集中する事が出来たし凄く楽しかったです。
ここまで支えてくれた家族、指導してくれた先生方、本当にありがとうございました。大学生活を一つの通過点としてこれからも頑張っていこうと思います。
大木百さん
東京・私立香蘭女学校高等科 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
武蔵野美術大学 彫刻学科
「!落ち込んでる暇なんて無い!」
全然うまくいかない日々が続いても、それがたとえ試験前日まで続いたとしても、僅かな可能性を信じて走り抜く勇気を!
周りと比べちゃう人へ
足が速いとか、歌がうまいとか、話がおもしろいとか...そういうたーーくさんの項目の内のひとつだと思います。デッサンが上手いとか形捉えるのが上手、とかも。
人それぞれ力に差があるのは当たり前。
だから諦めろって言っているのではなくて、みんなそれぞれペースがあるんだから焦らず課題を見つけてちゃんと取り組めばいずれそれぞれのタイミングで結果が出ます。
応援してます!!!!!!!!!!!!!!
山口遥加さん
栃木・県立宇都宮女子高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
東京造形大学 彫刻専攻領域
「素直になる」
周りの発言や行動に影響されない、流されない。
自分の気持ちは自分でつくる。
自分の行動は自分で選択する。
2浪の初めに決めたことです。
私は毎日こなす課題に対して、受験で出題されるから描く・つくるという意識が抜けませんでした。
だから自分のやりたいことがよくわからなくて、無意識のうちに周りの人の意見に頼っていたんだと思います。
でもあるときから、モチーフをぼーっと見てると、あ、ここ好きかも、こうしてみたら好きになれるかも、と思える小さな発見がありました。
正しくは、小さな発見に気づけるようになったのです。
そういう自分の心に起きる小さな変化を逃さず、耳を傾けてみると、それを表現するにはどうしたらいいのか、自然と道筋が見えてきます。
しかし、それでもやっぱり受験だからやらなきゃいけないこともあって、それらはその道筋の中で現れる、あれ...なんか違うな...という、これもまた小さな発見に気づいて修正する...
わくわくするようなことも、イヤな予感も、自分の心の反応や違和感を大事にして、決して見て見ぬフリをしない。
そうすれば結果は勝手についてきます。いいね!と言ってくれる人が必ず現れます。
城啓純くん
埼玉・県立大宮光陵高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
「自分と向き合って」
価値観と考え方は人それぞれなので、個人の感想として参考になれば幸いです。
僕が受験生として過ごした時間の中で学んだ事は、"自分と向き合い、受け入れて理解する"ということです。
僕は現役、一浪の頃それができていませんでした。
上手くいっている時の波、そうでない時の波、周りの意見に流されて、喜んだり、安心したり、不安になったり、過去の成功や失敗を引きずって空回りしたりしました。失敗が続くと自信を無くし、あるはずのポテンシャルも発揮出来ずに意識はモチーフから遠ざかって行きました。完全に自分を見失っていました。
自分をコントロールするためには、自分を受け入れて理解することが大切です。自分を客観的に観れる様になったことで、ポテンシャルを発揮できるようになりました。また、物は考えようで、難しいと思っていたことも案外シンプルに見えてきます。
さらに伝えたいことは、"1人の時間も大切にする"ということです。もちろん仲間と一緒に切磋琢磨する時間もとても大切ですが、1人で過ごす時間も同じくらい大切だと僕は思います。失敗にも成功にも必ず原因があるはずです。それを自分と向き合うことで冷静に分析したり、次の授業のために自分の課題を整理してみたりと、休みの日などわずかでもそういう時間を有意義に過ごせるかどうかで変わってくると思います。
二浪して多くのことを学び成長できました。
最後に今まで応援してくれた方々、成長させてくれた講師の方々、そばで支えてくれた両親に深く感謝します。
梅澤美音さん
東京・都立白鴎高等学校 卒
合格大学:
東京芸術大学 彫刻科
武蔵野美術大学 彫刻学科
「視点」
合格してなんですが私は実技が下手くそです。夜間部と一浪の過去のコンクールの結果を見てみたら、B゜を取れたのはデッサン7回、何と粘土は0回です。B'かB"しか取っていません。講評に並べるのが恥ずかしい程でした。皆みたいにいい結果をほとんど残せていないのに合格体験記を書いて参考になるか分からないけど、この一年を過ごして伝えたいなと思ったことを書きます。
私達が本番の実技を終えて、試験会場を出た後、部屋に入って、作品を見て、評価をつけて、この人を大学に入れようと選ぶ教授達がいます。
その時に自分がこういう人間だと伝えられる実技を残していくこと、予備校では自分の芯や意図を伝えやすくするための説得力とか言葉の種類を増やすために毎日課題を与えられていること。それを意識することが結構大事なんじゃないかなと思います。
やっぱり上手い下手というのはあります。コンクールでは順位も付けられます。結果次第で喜ぶことも、落ち込んで泣くこともあります。でも予備校で学ぶのは自分のことをより簡潔に伝えるための最低限の基礎力なんじゃないかと思いました。本番で自分がどういう人間でどういうことを気にしていて物をどういう風に見ているか、それを見る側に自然に伝わる作品を残していければ、今までの秀作の数やキャリアはそこまで関係ないのかなと感じました。
少し成長した一年になりました。毎日支えてくれた親、友達、先生達、本当に本当にありがとうございました。
みなさん体験記ありがとうございました。
これからの受験生の参考になれば幸いです。