「インタビュー企画第31弾」
2016全国公開実技コンクール特集
担当 冨田
ーすいどーばた美術学院講師8名の採点総評コメント掲載ー
各講師から、今回の公開コンクールについての総評を書いてもらいました。
それぞれの言葉をしっかりと受け止め、今後の制作の参考にしてもらえればと思います。
文章が送られてきた順に掲載します。
すいどーばた美術学院 彫刻科講師 篠塚未来
みなさんお疲れ様でした。
今回、ヘルメスに迫れているデッサンがとても少なかったです。もっと目の前の像をしっかり観察し、理解してください。
デッサンの完成度も大切ですが、それよりもいかに像に迫ることができたかが彫刻科のデッサンでは大切です。耳にタコができるほど言われているかもしれませんが、たくさん観察してたくさん直してください!
それが本番でできた人ほど良いデッサンが描けると思います。
入試までまだまだ色々なことができます。これからの自分の頑張り次第でなんとでもなります。
体調管理をしっかりして、息抜きも大切に頑張ってください!
すいどーばた美術学院 彫刻科主任 西嶋雄志
お疲れさまです。
今回の参加者が120名くらいで、昨年の芸大受験者数が180名くらい。
約6割の人数です。
昨年の芸大一次合格者が72名。
ということは、今回の参加者のうち40名くらいは芸大一次合格する計算になります。
しかし今回の合格レベルは16名。まだまだみなさん力が足りていませんね。
まあ時期的に難しいとは思います。これから力を付けてくるのでしょう!
期待しています。
ヘルメスは難しいと言われる像ですが、ちゃんと捉えることができると
すごくかっこいいデッサンに仕上がります。
今回の作品の中には、そういったヘルメスの特徴をつかんだかっこいいデッサンは見つけられませんでした。
しっかり観察し、理解し、組み立て、確認し、また観察する。
何度も繰り返し、精度を上げる。
自分の感じたものが表現できるまで続けてください。
それができるようになったら、大学進学後も自信を持って制作に取り組めると思います。
期待しています。
すいどーばた美術学院 彫刻科講師 荒木秀造
皆さんお疲れ様でした。
1枚1枚のデッサンを見てそれぞれがそれぞれなりの考え、経験、歴史を経て今回の実技に全力で挑んでいるんだと感じました。しかし、どれも似てません。
もっともっとモチーフを見てください、困った時こそモチーフに聞いてください。まだまだいろんなことを教えてくれます。心をよりシンプルに、一対一でもっと対話してください。全部教えてくれます。きっと自分の持てる力を何倍も引き上げてくれるはずです。
すいどーばた美術学院 彫刻科講師 冨田佳菜子
120名を超える人数の中で、皆さんはどんなことを感じましたか?
その時の場所、自分の周りの環境、その他多くの要因によって気持ちや受け止め方は変わります。
ですが、変わらないものもありますよね。そうです、モチーフです。
今回のモチーフはヘルメスでした。
ヘルメスはすいどーばたにあっても、学校にあっても、自宅にあっても、変わりません。
今回のコンクールでは、そんな不変の「ヘルメス」を描けているものが少なかったかなと思います。
上位の方から頭が大きいもの、顔面の印象が悪いものがたくさん目立ちました。
頭部の傾き、滑らかで複雑な胸の形、左右の肩の関係性、首のついている位置、、、まだまだ描ききれていませんでした。
ですが、そんな中でも今の自分と葛藤しているような”静かな熱さ”を感じられるものはたくさんありました。
このような作品は爆発的に良くなる可能性を秘めています。あとはモチーフに身を任せ、頼ることが大切だと思います。
特にヘルメスは、様々な方向の動きが複雑に絡み合っている上に、形が滑らかで目立つ形が少なく、難しいと言われる像です。強引に描こうとすると、逆にヘルメスから遠ざかってしまいます。
精一杯やっているのに描けないなと思っている人は、自分の技術力だけに頼りすぎていませんか?
モチーフは形を変えずにいつも目の前にあるはずです。気楽にボ〜っと見てみましょう。
今年は高校生の参加が多かったみたいなので、高校生の皆さんは、モチーフをしっかり研究して動きや構造の理解を深めましょうね。
お疲れ様でした。
すいどーばた美術学院 講師 島原遥
「見ること」
デッサンは手で描くものですが、上達のためには必ず目を鍛えなければなりません。デッサンにおいて、見ることと描くことは表裏一体の関係にあります。技術にばかり頼って観察することや確認すること、客観視することをおざなりにしてしまったデッサンは、それ相応の結果しか出すことはないでしょう。
見抜く力を持ちましょう。モチーフに対しても、画面に対しても、です。モチーフをしっかりと観察し、厳しい目で自分のデッサンを見つめましょう。常に作品のクオリティを上げるために努めてくださいね。
今回の6時間という時間の中でどんな仕事ができましたか?
コンクールの結果と共に、過程もよく反芻して、次に活かしてくださいね。
では2016年度全国公開実技コンクール、お疲れさまでした!
すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小川寛之
皆さんお疲れさまでした。
本番さながらの緊張感を味わえたでしょうか?
初心者の方、経験豊富な方もいると思いますが、ここ大一番で本来の実力を発揮する事はなかなか難しいことですね。
ここに向けられた努力や犯した失敗は特別な経験で、しっかり自分の糧となっています。
このコンクールの様な制作するのにプレッシャーのかかる状態を年に何回も作って下さいね。
通常の制作でも自分に負荷をかける事は可能ですし、自分に優しい方は友達や先生に刺激を与えてもらって下さい。
過去の先輩方も色々努力してモチーフや素材、親や講師等の重圧と格闘して強くなってきました。
苦労した方ほど結果が出ると信じています、頑張ってください。
すいどーばた美術学院 彫刻科講師 足立仁史
ヘルメスの彫刻的な魅力はどこにあるのか観察し発見すること。絵としての仕上がりを優先していくだけでは見落としてしまう事があります。
最後まで目の前のモチーフと向き合って、それに自分のデッサンが近づいているかを大切にしてください。
すいどーばた美術学院 彫刻科講師 阿部光成
アトリエに入りぐるりとデッサンを眺めてみると、「う?む・・・・・」というのが正直な感想。近づいて1点1点見ていくと、頑張りが伝わってくる。が、それって遠目と近めの印象が矛盾している。
彫刻の三原則は「量、動き、構造」皆さん知っているよね!?
そこの所が甘い!甘すぎる!!
如何に炭のコントロールが上手くても、平面で彫刻をしているような描きっぷりでも、形が合っていないといけません。
「饒舌に言葉を使っている割には、話の内容が的を射てない」そんなたとえが浮かんじゃったよぉぉ・・・・
まあ三原則にとらわれ過ぎても窮屈になっちゃうけど、地図みたいなものだから、照らし合わせながらモチーフとの比較に有効利用してください。
受験まで何か月だっけ?最後まで形を合わせる事と、完成度を高める事の両立を自分で、自分でだよ!研究してね。
みんなの健闘を信じています。