●2013全国公開実技コンクール特集
「インタビュー企画第22弾」
2013全国公開実技コンクール特集
担当 西嶋
ーすいどーばた美術学院講師8名の採点総評コメント掲載ー
講評で各講師にコメントをいただきましたが、コンクールの採点直後の感想を昨日から今朝までの間に文章にしてもらいました。
今後の制作の参考になればと思います。
じっくり読み込んでみてください。
すいどーばた美術学院 山口諒子 (9日 22:32)
みなさん、公開コンクールお疲れ様でした。
今回のコンクール、6時間という短い時間で描き込みに行っているデッサンが多かったように感じました。
が、印象は全体的にまだまだでした…
うろ覚えの絵心勝負ではなく、目の前にモチーフがある空間で描いた臨場感が欲しいです。
一生懸命に沢山手を入れることと、印象が会うことは必ずしも比例しません。
「見る力」(モチーフそのものを見る力、自分の作品を客観的にみる力、モチーフと作品を見比べる力)と「とらえる力」(動きをとらえる、シルエットをとらえる、空間をとらえる、量感をとらえること)をより養い、自分にあった仕事量や時間配分で6時間を使って欲しいです。
普段とは違う環境でのコンクールが、みなさんにとって更なる成長のきっかけになることを願っています。
すいどーばた美術学院 竹花哲 (9日 23:09)
ジョルジョのデッサンコンクール、いつもと違う環境ですが、みなさん頑張りましたね。
まだ、11月ですので、コンクールの良し悪しという結果はあまり気にしないで、受験までの時間を使って、まだ自分に必要な本当にやるべき事を強い意志を持って、しっかりやりましょう!
今は、彫刻という観念をもう一度、深く考えて取り組む事が求められて来ています。
表面的な仕事にとらわれないで、強い構造や動きを丁寧に見る事が大切です。
東京藝大では2次試験が重視されているのはそのためです。
公開コンクールで感じたデッサンのための1ポイント、アドバイスは、、!!
「離れて見てすっきり、近くで見てこってり。」
こんな言葉でイメージできると、簡単で伝わるかな。
解説すると、離れてみた時は、どんな石膏像でも構造は意外にシンプルな物です。=印象です。
でも、デッサンは絵ですが、近くで見たら、まるで本当に立体に感じるように質感や量感まで、描き切っていてほしいですよね。=密度。
それが、客観的で魅力もあるデッサンであると、思います。構造(印象)を正確に、そして、細部まで丁寧に!(密度)と言う事です。
ぜひ、これからの自分のデッサンで、確認してみてくださいね。応援しています!
すいどーばた美術学院 冨田佳菜子 (10日 0:23)
私たちは普段何も気に留めることなく目でモノを見ています。
見えたモノに関しては色々と感じるわけですが、見るコトそのものにはあまり意識はいかないのではないでしょうか。
どのように、モノは見えてくるのか。
じわじわと、?鮮明に?いきなり?
どうすれば、モノが見えるのか。
光が当たるから?影が落ちるから?
問いかけ方によって、様々な答えがでてきます。
もちろん、人によって答えは異なります。
単純な思考遊びかもしれませんが、なにかキッカケが見つかるかもしれません。
すいどーばた美術学院 吉田朗 (10日 7:28)
どのデッサンも良く描きこんであると感じました。上位の数点は正確性を高めた上で描写されており、見応えがありました。全体に描写や完成度に大きな差は感じられなかったので、順位は単純に正確性の優劣でついていると思います。
一方で、全体的にデッサンが似通って見えました。皆さんデッサンを良く研究しているのだと思いますが、描き手のリアリティーを感じる作品は少なかったです。
これから美術の世界に飛び込み、いろいろなことに疑問を抱いたり、自分なりの価値観を持って作品を作ろうとするみなさんのデッサンと考えると、少し寂しく感じました。
すいどーばた美術学院 白井翔平 (10日 7:44)
皆さんお疲れ様です。
公開コンクールてのはやっぱり普段と違って緊張しますねー。
さて僕の今回採点する上で大事にしたところは、
1. 絵の密度(見栄え)
2. 印象
3. バランス
この3点です。
僕がばーっと全体を見て自然に目に留まるのは、この3点の内のどれかを押さえているからだと思いました。
じゃぁどうすればそうゆうデッサンが描けるか?
モチーフをよ〜く観察して客観的に描くことです。
そんなん当たり前やん!と思うかもしれないけどこれが意外と難しい。
描いてる時は無我夢中ですからね。今はまだほとんどの人が発展途上だと思うので描くことに精一杯だと思いますが、自分のデッサンをまるで他人のデッサンだと思って見ることもぼちぼち試してみてください。
では頑張って!でも楽しんで受験を乗り切りましょー!
すいどーばた美術学院 足立仁史 (10日 7:53)
皆さんいつも通りの力が発揮できたでしょうか。
当たり前のことを当たり前にやる
簡単な事のようですが、いつもと違う状況下ではなかなか思うようにはいきません。
自分が座った場所から見える状況やその時に感じた感覚を一枚の絵の中に表現するには、これまでに積み重ねてきた当たり前の事が大切になってくると思います。
すいどーばた美術学院 西嶋雄志 (10日 7:59)
上位二点にaのランクが付き、この時期、6時間のデッサンでは良い内容です。
トップのデッサンは第一印象で頭部の調子のバラツキから顔の印象がもう一つだと感じましたが、自然に全体を捉えつつ構造も理解しているデッサンで、無駄な仕事がなく安定した力を感じました。長く見ているうちに良さが増す作品ですね。
上手くいかなかった人には参考になると思います。
コンクール全体には、例年より形態を意識した作品が増えた一方で調子の幅が狭く光の方向を捉えたものが少ないと感じました。
印象が合わないのに無理に描きにいって炭が濁っているためでしょう。
光と形は同義であるので、触覚的な形を描くことに偏らずに光をとらえた大きな組立をつかんで欲しいです。
あとは構図の悪さが原因で形が狂うものが目立ちました。胸像は首回りの空間が大事です。両肩と頭部が画面のどこに収まるのか再確認してください。
彫刻は『関係』が大切です。
木炭紙サイズとモチーフの関係
環境とモチーフの関係
水平垂直とモチーフの関係
表面と構造の関係
頭部と身体の関係
光と形と動きと調子と空間と構図の関係
そしてそれら全ての関係
視点を一つに絞りすぎていませんか?
形ばかり見てませんか?
画面ばかり見てませんか?
受験まで4ヶ月。焦らずじっくり取り組んでください。
すいどーばた美術学院 西澤利高 (10日 8:04)
受験生の皆さん、お疲れ様でした。いつも通りの仕事が出来ましたか?
ザックリ見て印象が良く、抵抗感のあるデッサンは、上位にある3〜4点でした。
木炭を寝かせて手をお大きく動かし、光と影で印象を捉え、木炭を少し立たせて炭に抵抗感をつける、即ちカタチにする、といったところなのでしょうか。
順位が下がるに従い客観性が弱くなり、更には魅力的なアジが出てきたり、満足気で近寄り難い作品が並びます。その辺りに拘るのは全く無意味だとは思いませんが、意味が足りてないので一次試験向きではありません。
まだまだ結果に満足出来ない人は、そんなことを考えながら上位の作品を見るのもいいかもしれません。