「インタビュー企画第20弾」
2012全国公開実技コンクール特集
担当 西嶋
すいどーばた美術学院と湘南美術学院が合同で公開実技コンクールを始めてから
すでに今年で9回目となります。
これまでの流れは昨年のインタビュー記事 2010全国公開実技コンクール特集と2007年のインタビュー記事 対談! すいどーばた主任 中瀬康志×湘南美術学院主任 佐藤武夫を読んでみてください。
採点風景です。
講演終了後です。
すいどーばた美術学院 山口諒子 (10日 22:13)
みなさん、コンクールお疲れ様でした。
今回のコンクールは全体的に密度を感じる作品が多かったのですが、印象に関してはかなり残念な結果であったと思います。
自分の絵に一生懸命になりすぎて、オリジナルのマルスを作り上げてしまっているような…
炭色も、布の色に惑わされて画面全体がハーフトーンになってしまっている絵も多かったです。
少し時間がたった今、自分の絵を見てどう感じますか?
他人の絵を見るように、形の狂いや光の曖昧さが見えてきますよね?
自分の世界に入り込みすぎず、客観的に作品を見つめる力をもっとつけましょう!
すいどーばた美術学院 白井翔平 (10日 22:25)
皆様お疲れ様です。
初めての人も、何回か受けている人も、公開コンクールというのは本番とはまた違った緊張感のある場所であると思います。
その中で自分の実力がしっかり出せたか。自分に問いかけてください。
その上で、今回の結果をしっかり受け止めてください。
僕が採点で注目した所は、モチーフに敏感に反応出来たかどうかです。
形だけ描かせたければ、石膏像単体のモチーフで良い。
わざわざマルスに布をかけている。
それによるさまざまな状況の変化を感じる事が出来たか?
デッサンというのは観察する事が命です。
マンネリ化されたデッサンはただの手遊びです。
そうは言っても彫刻のデッサンですから、技術というものも大切です。
形を合わせる事は最低限クリアーしなければならない事です。
上位の方にさえ、その事をクリアーできているデッサンは少なかったです。
講評する側というのは貪欲ですから、まだまだ物足りないというのが本音です。
もっと上手くなってください。そして、もっともっと感じてください。
時間の許す限り、自分の限界を突破しようと挑戦し続けてください。
まだまだ成長できます。頑張りましょう!
すいどーばた美術学院 竹花哲 (10日 23:40)
「モチーフの特徴をもっと観察してから描きましょう!」
シンプルに、これが、今回の公開コンクール「マルスと布」で強く感じた点です。
そして、、
< 良いな〜と感じたデッサン >
・とにかく、自己流でも、印象が合っているデッサン。
・迫力があって形を触るように描いているデッサン。
・空間が美しく、色味も豊富で、見ていて楽しいデッサン。
→これらを武器にさらに観察を!
< おしいな〜と思ったデッサン >
・空間的な印象が良いのに形が立体として弱いデッサン。
・形を立体的に描けているのに印象が微妙に似てないデッサン。
・いろいろ描いているがまだ雑で、像の全体感(マルスの佇まい)を見れていないデッサン。
→そういった人は、離れて客観的に観察を!
印象も形も全体感も全て大切なので、自分のデッサンを見て、それらが出来ているのか?
常に自分のデッサンを客観的に見て、描くようにしましょう。
合格するために、具体的に! 戦略を考えてみましょう!
デッサンの基本として、1構図、2バランス、3動き、4印象、5光、6構造、7空間、8リアリティー、9質感、10密度
などなど、自由でいいので、大切だと思う項目を考えて、自分の力でひとつひとつクリアしていって下さい。
入試まで、まだ時間はあります。冬季講習会や入試直前講座もあります。
2次の素描、彫刻の対策もバランスよく、練習していきましょう。
すいどーばた美術学院と、湘南美術学院、その他、たくさんの先生方、友人などのアドバイスを参考にして、これからさらに成長していって下さい。
自分の味方がたくさんいる事を忘れないでね。。応援しています。
すいどーばた美術学院 冨田佳菜子 (10日 23:40)
デッサンの並べてある採点場所に入った瞬間、多いなぁと思いました。それもそのはず、150人近くの人が参加しています。デッサンからも、緊張感を感じました。必死さも伝わってきました。そんな中でのデッサンの印象は、一枚一枚大差が無い、ということ。それを、どう捉えるか。考えてみてください。
具体的な感想としては、動きや構造の意識はあっても、大きなバランスの違いや印象の狂いが気になりました。そして、布との兼ね合い。布が掛かっていることで、ただ難易度が上がるのか、絵としての見せ方が増えるのか。ここも捉え方次第です。
本当にそれぞれ確かさと狂いが混ざり合っていたので、私は単純に目についたものから評価していきました。
魅力あるものを描くには、対象から魅力をたくさん見出すことが大切なのではないでしょうか。
それでは、受験までの残りの期間、実りのあるものしましょう!
すいどーばた美術学院 西澤利高 (10日 23:56)
僕は美術高校に通っていたので、高1からデッサンをやっていたワケなんだけど、1番最初のデッサンコンクールでビリから二番目という名誉あるポジションを得た。名誉ある割にそれがトラウマになり、それ以降努力はするもどんどん上手くなる友人達に差をつけられ、そのうちデッサンが嫌いになるのは当然で、部活と石堀に没頭していた。彫刻家への憧れとデッサン力の反比例。負けず嫌いの性根が災いして、どばたで2浪したが、塑像にはいささか自信があったものの相変わらずデッサンは下手糞だった。ニ浪春に一つの事に気がついた。絵は絵だ!絵の中で彫刻をするからカタチがいつまで経っても合わないんだと。好い気になってゴリゴリカタチを不自然に描いたり、陰影だけそれっぽく塗り絵したり。それでも絵の中で彫刻をするんだったら光を大事にして平らな真っ白い画面に奥行きを作らなければ。。みたいなかんじで石膏像を眺めると、硬い光、反射光、いやらしい影、武夫の○げ、これらをちゃんと木炭紙に表現するのは大変なこっちゃ。うあぉ、今まで俺はなんて独りよがりだったんだ。バルールを気にするとカタチも部分的じゃなくなって全体像を観るようになった。視界が画面全体にユキワタル。しかも悔い改めた僕のデッサンがコンクールで次第に上位に並ぶ様になり、益々今までの我儘な自分を大いに恥じた。
そんな事を、今回のコンクールトップのデッサンと、あの頃のウダツノアガラナイ僕のデッサンによく似た中盤以降の狂ったデッサンとを観て、懐かしく思い出した。
いかん、飲み過ぎた。ちと毒舌過ぎた。皆には大いに期待する。継続こそ力なり。クドスギル。まだ11月じゃ。じっくり石膏像を眺めようじゃないか!
おやすみ。
湘南美術学院 佐藤武夫 (11日 2:08)
今回の採点では、一位をどれにするか、最も悩みました。
色調は綺麗で自然なのに形は弱く、形は強いのに色調が自然では無いデッサンが多かったからです。その中でも離れて見た印象が良く、バランスが取れている作品から点を入れて行きました。
私は学生と一緒にデッサンを度々描きますが、(あっマズい!ハマった。狂ってる?。顔似せて何とかするか。いやぁやっぱ形描くぞ。それよりもパンだパンで白く…チガウチガウ…うわぁ助けてくれ?)などという葛藤は毎度のことです。
でも、必ず始めに見た印象を大切にしながら、発見した形を、動きを、光の流れを画面に残すことは大切にしています。
6時間でパーフェクトなデッサンが描けるとは思いません。でも、もっと格闘した後に、見る者に「私はこう観た」と伝わるデッサンを描いて欲しいと思います。
最後に一言。「やってしまった?」は芸大の試験では無しにしようぜ!
湘南美術学院 村上聡 (11日 2:10)
今回の公開コンクールの率直な感想はマルス石膏像を一つの形態(塊)として見たときにドンピシャリはまっているデッサンがほぼなかったです。一点ずつみると、細かい形をしっかり描写してあったり、空間が綺麗であったり、マルスの動きを理解して表現してあったりとそれぞれ見所のあるデッサンはあるのですが、そういったデッサンの中でも、頭部や体の量感が怪しかったり、胸板の厚みに対する正確性にかけていたり、頭部に対しての肩のポジションがずれていたり、首の形態感が弱かったりとまず引きでみたマルスの量感の印象が捉えきれているものが少ないなと思いました。レベル高いよ?と思った人はいっぱいいるとおもいますが、逆に言えばそこを正確に捉えることができれば、必然的に空間も出ると思いますし、かなり上位に喰いこんでいけるのではないでしょうか。個人個人それぞれ必ずひとつは魅力をもっているはずなので、それをうまく引き出させるために形態を正確性にとらえられる見方を養って欲しいと思いました。石膏デッサンは、絵画表現とはまた違い、立体物を平面で表現しないといけないので、そこに動きや質感、存在感など何を自分が捉えることができたのか主張することは前提です。彫刻家はエスキースやデッサンをもとに立体物を構築します。その一つの要素の量感を正確に捉え平面で表現することはかなり重要ですよね。色調は視覚的なものなので、何も考えずによく見れば合わせて行くことができますが、量感は見えないので、まず目の前にある立体物を自分で"感じて"、頭の中で理解して描かないと表現できません。言い換えれば、単純に自分のマルスのデッサンを見ながら、石膏像なしでマルスの模刻塑像ができるか。皆さん頑張りましょう。もし興味があったら、しょなびの冬季講習とかにも顔出してくださいね(^-^)/笑。
湘南美術学院 齊藤寛之 (11日 4:14)
皆さんお疲れ様でした。
今年のコンクール結果の傾向として観察眼の未熟さが浮き彫りになっていると思われます。
石膏像に布が加わる事によっての破綻が大きく出ています。
マルスの印象が違うのが殆どで、今回の課題は布を透かして像の全体像をとらえなくてはいけません。
この見方は例え単体の像でも背骨や頭骨、軸や筋肉の動きを見抜いていく意識に繋がります。
更に採点基準として布を利用した首の付け根やボディーの量感を感じさせる構造理解の描写を求めました。
作品にしっかりとした主張を持たせる為に、より深い見方を今後増やさなくてはいけませんね。
各々が計画した努力次第で変わります、頑張ってください。
すいどーばた美術学院 吉田朗 (11日 7:16)
全体感をつかんだ上で、モチーフに対してそれぞれの切り口で踏みこんでいったデッサンが上位に並びました。様々な切り口のデッサンがあり、バリエーションを見ることができて皆さんにとっても良かったと思います。
トップのデッサンは難しい正面位置から肩の引きと首から頭部の傾きというマルスの動きの特徴をよく捉えていました。抵抗感に物足りなさがあったので、まだ伸びるデッサンだと思いました。
全体感を掴みつつも踏み込みの甘いデッサン、また踏み込みが強いが全体感に少しのズレのあるデッサン、だいたいその辺までがB○のラインだと思います。
下位のデッサンまで、6時間の中でよく描いてあると感じたのですが、描くことだけを目的化すると対象からは離れていってしまいます。当たり前の事なのですが、よくよく比べる事が基本かと改めて感じました。
大事なことは何なのか、それが見えてくればもっと仕事が組み立てやすくなると思います。
すいどーばた美術学院 西嶋雄志 (11日 7:44)
自分を信じること。
そして、石膏デッサンが試験である以上は、自分を客観視できること。
そしてそのために自力で彫刻と入試を研究すること。
そしてそれらの得たものを一度全て手放し、ただモチーフと対話すること。
何かにとらわれたり、恐れていたら力は出し切れません。
あとは身体が勝手に応えてくれるので、表現出来る身体を維持すること。
この山を乗り越えたらもっと景色のいい山が見えて、また乗り越えたくなる。
自分の足下ばかり見てないで
そろそろ次の山を見に行こう。
この先は楽しいですよ。
今日の採点ではそんな風に感じました。
今回は、自然さはあるけど形態の理解が浅いものより、多少不自然でも彫刻を理解しようとしているものを評価しました。
みんな頑張っちゃいるけど、まだまだだね。
湘南美術学院 東儀悟史 (11日 7:57)
描き急いでいるなぁ、、、もっと、 ゆっくり、丁寧に、やるべきことやっ て、よく観て、地味でもいいから味の あるデッサンがあれば、迷いなく金星 をいれるのになぁ、、 今回のコンクールの印象である。 彫刻科のデッサンで大事なのは魅せる ことよりもよく観ること、短い時間の 中で上手く描くことではなくシッカリ と組み立てることではないでしょうか? 表面的な形よりも、狂い、印象、構 造、陰影、を合わせていこう!。
すいどーばた美術学院 足立仁史 (11日 7:58)
皆さんお疲れ様でした。
今回全体的に印象が合っていないデッサン、黒いデッサンが多いように感じました。
公開コンクールということで少し描き急いで客観性が足りないように思います。
石膏像と布という別の素材が組み合わされたモチーフですから、もっと2つの関係がスッキリ見えてきて欲しいです。 結果的にも光、空間、質感などのモチーフの置かれている状況が分かりやすいデッサンが上位にきているように思います。
6時間と時間が限られた中ですから、より「何を観たのか」、「何を描くのか」という理解する力を大切に対象と向き合っていって下さい。
湘南美術学院 額賀苑子 (11日 9:04)
100枚以上のデッサンが並んだ時に狂っていてもパッと目を引く作品、というのは確実に存在します。
もちろん自然で、正確なデッサンを描くことはとても大切です。しかし、主張のない絵は埋もれてしまうことがあるのです。
大勢の中に放り込まれた時に、自分のデッサンは、一体どのように見えるでしょうか。
他校と一斉に行う合同コンクールは自分の本当の実力や性質を計る滅多にないチャンスです。
普段とは違う状況のなかで、普段通りの仕事はできましたか?予備校の仲間たちと比べて他校のライバルの仕事ぶりはどうでしたか?満足の行く結果は出せたでしょうか?
今回の経験をよく考察し、全国の中での自分の立ち位置を見つめ直す事が、残りの時間を充実させ、夢を掴む為の大きな糧になるはずです。
しまって行こーぜ!!
以上13名の講師の総評でした。心に留まる言葉があれば、大切にしてください。
皆さんお疲れさまでした〜!