「インタビュー企画第46弾」
2025合格者体験記特集
2025年度の合格体験記をまとめました。
それぞれが受験生としてのリアリティーを持っています。
来年度、受験する方は是非参考にしてください。
また、今年は2名の保護者の方に<見守り体験記>を書いていただきました。
吉田空さん
合格大学:東京藝術大学 彫刻科
武蔵野美術大学 彫刻学科
「成長体験記」
浪人で学んだこの一年間は、私に大きな変化をもたらしたと感じています。
それは技術面はもちろんだけれど、内面的な部分や、モノの見方など、手先を動かすことよりももっと大切な部分でありました。
前まで分からなかったものの魅力に気づけるようになる。描いているものが立体物に見えてくる。先生の言っていることが理解できるようになる。
少しずつ頭の中の模様が変わっていく実感があって面白かったです。
自分と向き合い続ける浪人生活の中では、自分を分かった気になって限界を定めようとしたり、自分への期待値が高すぎて結果とのギャップに苦しんだりすることが多々ありました。辛いこともあったけれど、そんな時は友達の存在に助けられながら、考えることはやめませんでした。そしてそれらを着実にアウトプットしていくことで、地道に成長できたと思います。
まだ少しデッサンや作ってみたい構成の理想はありますが、今は私なりの一年を駆け抜けたことに達成感があります。
振り返ると、先生方やみんなの彫刻に対する価値観を垣間見て、自分がどれほど未熟かということを知られた一年間でした。そして、これからもまだ未熟な自分を更新し続けていきたいと思っています。
最後に、約二年間支えてくださった先生方、友人のみんな、本当にありがとうございました!
井口直人さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「好きに勝るものなし」
自分がどばたの生活で特に大切にしていたこと、やっていたこと
・勘を磨く
・1位を取ろう、と実技をしない
・彫刻家はしもとみおさんのデッサン10ヶ条
・やるならやる、やらないならやらない
・自分のテンションがちょっと上がるアイテムを身につける
・美味しいお昼ご飯を食べる!
「好きに勝るものなしでギョざいます!」
さかなクンが言ってました
好きを貫けば無敵です!
好きなことをさせてくれる環境に感謝です
今まで応援してくれた方々、ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします。
菅原真実さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「感謝」
沢山失敗した方がいいし、その全てが経験値だし、よくわからなくても拾い集めれば、いつか点は線になるし。人には後悔するにも何かに気づくにも、それぞれタイミングがあるから。
そうはいっても事実その裏にはお金がかかるけど。
私が迷ってる間も、覚悟のつかない時間ですら、父親が休日も返上して日夜働いてくれたお金の上に立ってる。勿論、私の身の回りお世話してくれたママの労働の上にも。
何百万もかけてもらってつけた手に職だし、恥ちゃいないけど、結局そこだと思う。
苦労かけてごめん、本当にありがとう。でも、全然苦労かけ道中なので、まだまだよろしく。
松下悠七さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「誰にだってチャンスはある」
どばたに2年間在籍して、自分はそこまで技術力のある方の人間では無かったなと思ってます。決して自分に技術力がないと言っているわけではないが、どばたで周りを見渡せば自分よりはるかに技術力のある人間なんて腐るほどいるから嫌でも自然とそう見えて来てしまう。二浪もしているのにも関わらず恥ずかしながら粘土のコンクールでは1度もB゜(合格ライン)を取ったこともないしデッサンでも1位やaなども取ったことがない(一回は取ってみたかったなぁ、、)。じゃあなぜそんな技術力のある他の生徒より今回自分が藝大に入れてもらうことが出来たのかと、この体験記を書く時に考えてみた。正直『運も実力のうち』と言う言葉があるぐらいなので、今回合格したのは運のおかげも凄くデカイとは思いますが、そんな話をしたところでどうにもならないので、自分がこの1~2年間やって来た中でずっと心掛けて来た3つの大事な事を今この体験記を読んで下さっている皆んなに少しお伝えしようかなと思っています。
まず、絶対に諦めない事です。読んでいる皆んなからしたら『いや、、お前そんな事当たり前やん、、、分かってんねん。』って思っている人ばかりだとは思いますが、案外諦めない気持ちって言うのは気づいた時に見失ってしまっている事が多いいです。自分もこうやって諦めない事が大事とは言ってはいますが、ずっと継続して保てていたかと言うとそうでも無いです。自分は小さな頃から全てにおいてネガティブ思考で、浪人中も藝大合格なんて絶対無理なんだろうなと周りからの焦りや、不安から諦めようと思ったことは数えきれない程この2年間でありました。でも、そんな時自分は一度周りを見渡して今一体何の為に製作しているのか、何になる為にここにやって来たのかを再確認する様にしていました。それさえ出来ていれば何度くじけても絶対に最後まで走り切れると思います。今回の二次試験だってそうでした。藝大の試験会場に辿り着くや否やマスクが見え、『やば』の二文字が頭を過り、2次試験が始まり課題文が入ってある封筒を開けたときに[自身の手]と書いてあり『あ、苦手な模刻要素と手どっちも出ちゃったよ、、、終わったな、、、』って正直思いました。でも、そこで慌てず、何の為に今自分は藝大の二次会場で作品を作らさせて貰っているのか、何になる為に自分は藝大へ行きたいのかを考えた事が結果的に今回合格に繋がったと思う。本当にその考える時間が無ければ絶対に自分の事なので、周りに流されてショボい作品を作り、三浪目に突入していただろうなと思います。なのでここまで読んでくれた皆んなもどこかで行き詰まったタイミングがあれば是非今教えた方法を参考にしてみてください。
次に自分が大事にしていた事は今の自分に満足しない事です。正直これに関しては一浪目では全く意識できていなく、今年一緒に藝大に受かった彼女に言われて意識するようにしました。彼女は自分自身に凄く厳しく、いつもどばたでの実技を褒めても"嬉しいけど、こんなので納得してて良いの?全然ダメでしょ。"的な事をよく言われていました。自分はその時凄く伸び悩んでいたので、悔しさと羨ましさから彼女の実技を我ながらひたすら研究した結果自分なりに分かったのが、彼女はどばたでの実技にほぼ1度も満足した事がなかったんだろうなと言う事です。一喜一憂せずに誰よりも上を目指す、たかがWEBアップ、たかが本撮、たかがB゜。彼女はそんな事よりも大学に受かる為にひたすら自分の技術を自分なりのストイックさで磨きをかけていました。なので自分も同じようにデッサンや粘土で「こんなもんで良いかなぁ」と自分でゴールを設定せずに走れる限り本気で手と頭を動かして限界値を超えてやるって言う気持ちで入直は制作していました。そのおかげで自分は入直で今まで味わった事のない感覚、発見、制作する上での自分と作品の関わり方に気づく事ができました。藝大の1次も2次も正直完璧な物が描けて、作れたかと言うとそんな事は無いかもしれないですが、少なからず入直で意識していた"今の自分に満足せず上へ上へ"のスタンスのおかげで慣れない空間でも十分作品として見れるぐらいの物を残せてこれたんだなと思いました。
最後に自分が大事にしていた事は楽しむ事です。正直な所、1個目と2個目よりも今から話す事が1番大事だと思っています。自分はこの2年間実技に嫌気がさした事がほぼゼロに近く、どれだけコンクールの結果が悪くても、その日いい物が作れなくても感情的には一瞬落ち込みはしますが、嘘でも自分に言い聞かせて楽しむ事は絶対に忘れないようにしていました。特に粘土の自由課題が出た日には"よっしゃ、自分の好きな物作ってええって事なんやろ?見せたるわ!"って感じでただ自分が6時間楽しく制作できる作品しか作っていませんでした。受験としては良いのか悪いのか分かりませんが、そのおかげで粘土課題での楽しみ方を自分なりに理解できたような気がしますし、本番の2次試験でも周りがシンプルな構成を作っている中、枠にとらわれずに自分だけぶっ飛んだ作品を作れたのかなと思っています。デッサンも同じような感じで、入直の最後は感じたまんま絵を描いてて、楽しくなる方向に手を進めていました。
最終的に自分が言いたいのは、本番というものは大学に対してどれだけ自分のスター性、作品を制作する意欲、楽しさを作者がいない状況で説明できるかだと思っています。守りに入らずに彫刻家になるんだったら良いも悪いも目立ってなんぼ、楽しんでなんぼです。楽しめない人間は正直どれだけやっても厳しいとは思います。でも逆を言えば楽しみ方を知っている人間はもう誰にも止められません。なのでこれからもお互い制作する楽しさを忘れずに頑張っていきましょう!!
本当にここまで読んでくれた人は多分ほぼいなとは思いますが、もしいるのであればありがとうございます!最後にはなりますがこの2年間教えてくださった大好きな先生方、いつも近くで支えてくれた友達や家族、全ての方々に感謝しています。本当にありがとうございました。
<見守り体験記>
松下さんお母様
「夢を追いかける天才であれ」
息子は幼い頃から,自身の周りに彫刻が当たり前に存在する環境で育ちました。
しかし、中学生になるまでは特に美術に興味も持っていませんでした。
我が家は母親である私と、父親である主人と共に美術大学の彫刻科を卒業しており、家業が採石を伴う石材店を生業としております。周りには自然と彫刻家の人達が集い石を始めとする様々な彫刻が物心が付く前から身近に存在していました。
にも関わらず、身近過ぎて全く興味は有りませんでした。
息子は幼稚園から高校までインターナショナルスクールと言う多国籍な文化の中で過ごしてきました。
そして息子の人生を語る上でとても重要な事が、中学1年生の時に勉強への興味が向かず、身に入らず中1を2回経験する事に。
しかしながらその挫折経験が分岐点となり、その後、人が変わった様にコツコツ何にでも努力する様になると同時にアートへの興味が沸々と湧き出し、大学受験を考え始めた時には日本の美術大学に進学したいとの願望が産まれました。
しかし、インターでの美術授業は日本の学校の物とは全く別で自由すぎる授業だった事もあり、芸大美大受験の試験方法である"ストイックにデッサンや粘土を制作して行けるのか"が1番の心配でした。
高校2年生の後半から地元の画塾に通い始め、まだ何科を受験したいかも決まっていませんでしたが、やはり小さな時から馴染みのある彫刻に惹かれ、彫刻科を目指し始めました。
そして知人にドバチョウ出身の藝大卒の方達が複数いた事から話を聞くうちに自分も卒業後"ドバチョウで学んで東京藝大の彫刻科に入学し自分の作品を制作したい"との想いが強くなり、私達も息子の東京で戦う決意の強さを受け取る事ができたので、上京してドバチョウに通う事を主人と許可しました。
ドバチョウに入学後、講師陣の皆様が本当に親身になってご指導とサポートをして下さり、そのお陰もあって1度目の受験で1次落ちした後も心が折れる事なく次の受験に向けてスタートでき、2年目もモチベーションと心を保って過ごし、
2回目の受験で無事合格を勝ち取る事ができました。
藝大で彫刻を学びたいと言う強い想いをこの2年間抱き続け、そしてやっと手に入れる事ができました。
余談なのですが・・・
母の私自身、中学生時代に現藝大学長の日比野克彦氏に出会い彼のアートに衝撃を受け、「私も東京藝術大学に入って日比野さんみたいなアーティストになりたい!!」と想い藝大を目指しましたが願い叶わず、今に至ると言う過去を持っています。
そして、30数年後に息子が目指し始めた道が私と全く同じ道だった事に不思議な因果応報を感じました。
しかしそうなれば、今度は母として「息子の目標を全力で応援したい!!」とそう思い東京に送り出して2年、念願であった東京藝術大学彫刻科に合格する事ができました。
とても努力したと思います、しんどい時も勿論たくさん有ったと思います、しかし心折れる事なく頑張って来れた事は親として誇りに思います。
これからは東京藝術大学の素晴らしい環境の元で、自分自身と向き合い、日々精進し、制作し
彫刻を通して夢を追いかけて行って欲しいです。
松下友香
志水蓮さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「自分が決め手」
決意を固めて下さい
やるしか無いんです
どれだけ下手でも試験日は待ってくれません
下手ならもがくしかありません
自惚れてはいけません
講師にアドバイスを聞きに行ってその力がついた気にならないようにして下さい
力は自分で付けるもの、自分で考えて行動してみて下さい
それが出来るようになれば、1人でも自信を持って色んな事に挑戦しやすくなれると思います
他の人と比べて落ち込まないで下さい
他人は他人自分は自分です
他人が良く出来ている部分と自分の出来てない部分を比べる人が良く居ますが、安心して下さい。貴方が得意なものは他の人には誰にも真似できません
レオナルドダ・ヴィンチには勝てません
なら自分の分野で唯一無二を作って誰よりも輝いてしまいましょう☆
そして自分を支えてくれている色んな人を大切に
〜あとは楽しんだら勝ちだと思います〜〜〜〜〜
鈴木英士さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「考えて、気付き、身につける。つまり捉えること。」
今年一番大切にしたことです。
自分で気付いたことは、いざという時に助けてくれる気がします。
逆に、他人に言われただけの言葉は、いざという時に思い出せない気がします。
では、他人からの言葉が必要ないのかというとそうでもなく、その言葉は気付くきっかけをくれると思います。
講評はもちろん、周りの人たちからの何気ない言葉の意味を理解し自分なりに置き換えていました。
自分の過去の作品もきっかけをくれると思います。自分の得手不得手を知ることができると思います。
私は今年、とにかく考えて実技を調整しましたが人には向き不向きがあります。
極端かもしれませんが、頭を使わずに感覚を磨いた方がいい人もいます。
大切なのは自分と向き合うことだと思っています。なのでこの話は、あくまでも私の話として理解していただければ幸いです。
実技で「ピンとこないこと」、「やったつもりだけど出来てないと言われたこと」
これは自分に何か視点や感覚が足りてない状態で、その時に足りてないものを考えることがとても大切だと思っています。
私は、他の人からもらった言葉や自分の過去の作品をきっかけにして納得するまでひたすら考えていました。
私は1浪までデッサンに苦手意識があり、特にピンときてなかったことがあります。
「デッサンで何をすればいいのか」「絵が硬くなる」ということです。
私の場合は、デッサンはいい絵を描くもので、絵が硬くなるのは視点が狭いからという結論になりました。
結論は人によって変わってくると思います。
いい絵を描くために正確性があるほうが良いので、精度が求められるんだと思えるようになり、視点が増えた気がします。
視点が狭くならないように気を付けていたのは、広く意味を取れる言葉で確認するということです。
例えば「動き」という言葉で確認すると動きしか気にできなくなりますが、「彫刻的三大要素」という言葉で確認すると動きだけでなく量感と構造も確認する必要が出てきます。
本番に向けて意識していたこともあります。
緊張して8割力でも合格できるように実力をつける。
緊張しても8割は力を出せるようにする。
前者はただ頑張るだけだと思います。
私自身とても緊張しやすいので後者は特に大事にしていました。
自分の実技の進め方を客観的に観察し環境が変わってもいつも通りの進め方ができるように日々調整していました。メンタルケアが大事だと思います。
そして切っても切り離せないのが運だと思います。
素描、塑造問わず、出てくるモチーフから座席位置まで運が絡んでこないわけがありません。
運に恵まれた人はそれでいいと思います。
運に恵まれなかったとしてもそれをどうにかするのが実力だと思っています。
だからメンタル含め実力をつける必要があるんだと思っています。
私は幸運にもそれに気付く機会がありました。
去年のモチーフが一番得意なブルータスだったことです。
今年は得意なモチーフが出てこないと思い、運に頼るわけにはいかないと決心でき、自分の苦手なことにしっかりと向き合い捉えようと思うことができました。
物事を捉えられるとやるべきことが明確になり成長を実感し自信につながると思います。
自信がつけば実技がどんどん楽しくなると思います。
最後に、ここに至るまで支えてくださった先生方、家族の皆様、友人たち、関わってくれた人たちには言葉で表せないほど感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。
関野泰祐さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「なんとかなるっしょ」
大体のことはこの言葉で何とかなります。
僕は社会人からの浪人だったのでスタートがみんなより遅く正直入ったばかりの時はレベルの差に圧倒されて毎日泣きそうになりながら実技してましたね。笑
そこで僕はどうしたら最短で合格できるのかを考えてました。上手い人はいくらでもいる中でどうすればいいのか?
僕が最も大切にしてきたことを3つご紹介します。
1つ目は余計なプライドを捨てて、謙虚になること。内心イラっとすることばかりでしたがそこで無視するのは簡単です。でもそれぞれの意見を尊重し笑顔で対応、コツや自分の悪い癖を探ったり上手い人から考え方や技術を盗んでました。
2つ目は自分の頭で考えること。講評での講師の意見は客観的に自分の作品を見てもらった時の感想を聞くだけで、疑問に感じたことやわからないことはあまり質問しにいきませんでした。僕の場合、聞きに行ったところで結局答えは自分の中に全てあって、でも大切なのは答えではなくその過程です。頭を常にフル回転させて自分なりの答えを導き次の実技に応用、思いついたことは全て試しトライアンドエラーの繰り返し...
必要なものは吸収し無駄なものは省いていきました。
3つ目は根性です。もうこれが自分の最大の武器でした。世の中気合いと根性で行けます。行けなかった時は気合いと根性が足りなかったということです。常にポジティブに自身を高めてマイナスな事も気合いでプラスに、うまく行ってない時は何とかなるっしょ精神で気合いで何とかする。自分を追い込むことが快感で絶望の状態をも楽しんでました。笑
あ、あとこれは知り合いの受け売りなのですが学科落ちって言うのは本当にあります。ちゃんと勉強はしとくべきです!
実技だけうまかったら藝大に入れるなんてそう甘くはないらしいですよ...
自分のことばかり話してきましたがもちろん周りの支えや家族の存在は大きかったです。その中で最も尊敬をし最も敵対視をしてた人、僕が受かったのはその人のおかげといっても過言ではありません。本当にありがとうございました。
そんなわけで長々とお読みいただきありがとうございます。
これからも自分の更なる目標に向かって気合いと根性で突き進みます。みなさんも自分の目標に向かって突き進んでください。
ありがとうございました。
山川侑亜さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「弱い自分と向き合う」
私は現役の頃からずっと「自信を持て」と言われ続けてきました。どばた生活では実技の上達はもちろん、それ以上にメンタルを鍛えることを目標にしていました。毎日の課題で何か1つでも成長しようとその日の目標を決めて実技に取り組んでいたので、小さな「できた」の積み重ねが小さな自信の積み重ねになっていきました。
結局2年経った今もメンタルは弱い方で、試験当日は緊張で頭が真っ白になってしまいましたが、今までコツコツやってきたことを信じて悔いが残らないくらいやりきる事ができました。
浪人生活の1年を振り返るとメンタルが不安定で長期間どばたを休んだこともありました。しかし私が最終的に楽しくどばたに通うことが出来たのは、どばたに行きたいと思わせてくれた大好きな友達、親身になって話を聞いてくれた講師の方々、ずっと私の味方で支え続けてくれた家族のおかげです。本当に感謝しかありません。ありがとうございました。
<見守り体験記>
山川さんお母様
「娘を信じて」
娘は小さい頃から工作や絵を描くことが大好きで、美術の道に進みたいと言ったのは中学2年生の終わりでした。
私たち両親は美術とは全く縁がない人生でしたので、美術コースのある都立高校に進学し、娘が彫刻科しかない!と1人で決めていたのには驚きもありましたが、これから好きなように好きなだけ彫刻と向き合ってもらいたいと心から思いました。
それから本格的に東京藝大を目指すことになりますが、受験対策をするのは高校3年生になり画塾に通い始めてからです。高校の授業が終わってから夜遅くまで画塾に通い、入試に向けてデッサンの実力も上がってきてはいましたが、結果は一次で落ちてしまいました。初めての受験、初めての場所、知らない人がたくさんいる場所では、やはりいつも通りのメンタルでデッサンをすることはかなり難しかったようです。
浪人の1年間は、技術的な事はどばたで学んできてもらい、親としては娘の「彫刻が楽しい!大好き!」という気持ちを失わないようにサポートしていこうと思っていました。春と秋頃に1ヶ月近くどばたに通えない時期がありましたが、娘には娘のペースがある、娘の彫刻に対する気持ちを信じて、休む時には思いっきり休ませ、たまに一緒に息抜きに出掛けて彫刻とは全く関係のないことをしたりもしました。
入直あたりからは明らかに今までより集中力があがり、その勢いのまま入試当日を迎えることができました。ただやはり当日は緊張に襲われて、午前中は去年と同じようにいつも通りのデッサンができなかったようです。しかしこの1年間どばたで学んできたこと、娘自身も自分のメンタルの弱さがわかって乗り越えようと努力してきたことで、諦める事はありませんでした。お昼で気持ちを立て直し冷静になれたことで、午後は落ち着いてデッサンに取り組んでいたようです。結果1次を通過し、2次の粘土も楽しく取り組め、合格をいただくことができました。
先の見えない日々の中で諦めずに進んでこれたのは、技術的にも精神的にも支えてくれたどばたの先生方、そして同じ夢をもった分かり合える友達がいてくれたことに他なりません。とても感謝しています。どばたでのこの1年間の成長に自信を持って悔いの残らないよう4年間思い切り楽しんでもらいたいと思っています。本当にお世話になりありがとうございました。
村田遊馬さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「最後の受験」
僕は4浪して合格しました。高校生の僕がそんな未来を知ったらどんな道に進んでいただろうと思います。でも今胸を張って言えるのは浪人して良かった。この期間がなかったら自分が自分じゃなくなる気もするくらい大切な日々でした。
ドバタには現役の夜間部から2浪まで通年で通わせてもらいました。両親との約束で3浪からは自分のお金で学費を払うと決め、バイトをしながら3浪は半年間、4浪は入直の1ヶ月間だけ通いました。
3浪で落ちた時点で心機一転し武蔵美に進学しましたが、どうしても諦めきれず今年は最後の悪あがきのような受験でした。
ここまで好き勝手に生きてきた自分をそれでも応援し続けてくれた両親には頭が上がりません。
ドバタという場所は本当に楽しかったです。いろんな人がいてその数だけ作品があって、友達もたくさん出来てみんなでご飯食べに行ったりたまに遊びに出かけたり、そういった息抜きが不安を少し忘れられる時間でした。
でも今思い返すとかなり辛い時期が沢山ありました。楽しかった思い出も友達が受かって居なくなったドバタでは虚しいだけの思い出に変わります。バイトの夜勤に向かうバスの中で友達の入学式のインスタを見て自分は何をしているのか、これが正しい道なのか迷ったこともありました。それでも続けられたのは一緒に頑張ってきた仲間たちと同じ場所に行きたい、絶対に上野で彫刻を学びたいという気持ちでした。
試験本番は不思議と今までで一番落ち着いて制作できました。二次試験の作品は文章を含め、自分のことを素直に表現できたと思います。やっぱり発表の前はソワソワするけど、去年と違って心のどこかでは絶対受かると信じていました。
最後に今まで指導してくださった講師の方々や応援してくれた仲間たち、支えてくれた家族や親戚に感謝を伝えたいです。絶対に自分一人ではここまで来れなかった。
本当にありがとうございました!!これからも頑張るぞ!!!ウォー〜!!
川端徹士さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「一人じゃない」
どばたに通った二年間を簡潔に表すと嫉妬と葛藤の連続でした。
特に一年目は自分の作りたいものと作れるものとのギャップに悩み、周りの友達と自分を比べ、悔しさや恥ずかしさで毎日しんどかった。
でも一年目の一次落ちの後の面談で、ある一人の講師にこう言われたんです。
「川端はちゃんと作品を作れる子だからね〜」
涙が止まりませんでした。その時にようやく気付いたんです。
自分は一人で戦っていたわけじゃないこと
僕の作品を、僕自身をしっかり見てくれている人がいること
今この文章を読んでくれている人に言いたい。
自分の良さや弱さを自分自身で肯定出来ていますか?
周りも見ずにただがむしゃらに努力していませんか?
楽しさじゃなく正しさを求めていませんか?
焦った時、落ち込んだ時ほど周りをよく見てください。
そうすれば気付くはずです。
想像以上に自分を見てくれて応援してくれている人達がいることに...
最後に、僕に携わってくれた全ての人達、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
坂本和さん
合格大学:東京芸術大学 彫刻科
「毎日休まずどばたにいって1日しっかり実技と向き合う」
講評中に涙を流すことも、失敗を引きずって落ち込むことも何度もありました。
コンクールの結果を気にしないことなんて出来なかったし、人と比べてなんでこんなに出来ないのかと、卑屈になる日が続くことなんて当たり前でした。
でもどんなときでもどばたにだけは毎日休まずに行きました。
あまり冷静では無かったかもしれないし、器用に、上手には受験に向き合えていなかったかもしれない。それでもこれが、あまり器用ではない私にとって最大限に誠実な受験への向き合い方でした。
そして最後に背中を押してくれたのも、自分が休まずにやってきたという事実でした。
努力が必ずしも結果に結び付くわけでは無い、とこの2年間で痛いほど感じてきました。それでも、綺麗事だと感じるかもしれないけれど、最後まで誠実であることが大事だと思います。
自分に対しても、作品に対しても。
私はこれからも誠実であり続けられるように努力していきたいと思います。
最後に
どばたで二浪する間、休み時間や放課後に実技の話や、日々のたわいもない話で盛り上がる時間は私にとって本当に大切でかけがえのない時間でした。2年間互いに切磋琢磨し合える仲間がいる環境、本当に幸せだったと思います。みんな本当にありがとう。
講師の方々、最後まで熱く時に厳しく指導して下さり本当にありがとうございました。心が折れそうな時、道に迷った時、何度も先生方の言葉に助けられました。
そして家族のみんな。私の選択を一番近くで見守って、応援してくれて本当にありがとう。感謝しても仕切れないです。
ここまで私に関わってくれた方々、本当にありがとうございました。
ここまで長々と書いてしまいましたが最後まで読んで下さりありがとうございます!
これからも誠実に直向きに頑張っていきます。
みなさん体験記ありがとうございました。
これからの受験生の参考になれば幸いです。