●”生きている”とは?
先日サロン・ド・プリマクラスではウサギの塑造を制作しました。
彫刻科の課題の中では、ほぼ毎日と言って良いほど「身体」について考えます。石膏像も人体ですし、今日制作したウサギも身体です。動物がモチーフになるとき、彫刻科では必ず生きているモチーフを観察しながら彫刻を制作します。表面をリアルに作ることが目的ならば動かない剥製や細部の拡大画像を見ながら作った方が合理的です。しかし我々彫刻科が目指す作品はそういった表面的な観点ではなく、生きている対象と対峙する中で作者が何を感じ、それをどう伝えるか。ウサギが放つ気配までをモチーフとして捉えていく、それが彫刻科において大切な観察になるのではないでしょうか。
今回は4点紹介します!
S.Oさん
制作中ウサギたちは高い台に乗っており、大きな人間に囲まれながら長時間見つめられています。これはウサギからするとかなり居心地が悪い状況ですね。この作品は視線や重心などをうまくコントロールして、少し緊張しているウサギの様子を繊細に捉えられています。
R.Tさん
後ろ足の毛繕いをする姿がとてもウサギらしいです。巻き込むような身体の動きと対照的に広がっていく空間を耳やボディの動きを使って魅力的に表現しています。
K.Oさん
派手な動きだけが生命感ではありません。この作品はあえてじっとしているポーズを選んでいます。微妙な目の開き具合や足先までの緊張感など作者の心配りを感じます。粘土の質感もとても強い言い切りがされており、そのハリによってウサギの温もりや息遣いまでも感じられそうです。
M.Sさん
遠くを伺うようなポーズで、これぞウサギといった王道勝負の作品ですね。完成度も高くその姿勢に見合ったクウォリティです。分かりやすすぎる構成を選ぶとウサギはすぐにキャラクターっぽくなりがちですが、観察と素材のやり取りによって見事にウサギのイキイキとした姿を捉えた彫刻になりました。